ボルボ 自動運転「ライドパイロット」を米カリフォルニアで先行導入へ

ボルボ・カーズが条件付自動運転機能「Ride Pilot(ライドパイロット)」を米カリフォルニア州の顧客に先行導入する計画だと発表しました。ライドパイロットは、高速道路での安全性が今後行われるテストで実証された後、ボルボの次世代電気自動車に搭載される予定です。

多くの人が関心を寄せる自動車の自動運転機能は、自動車メーカーが優先的に開発を進める機能の一つです。人間の監視なしに自動車が自動運転できるようになることは、自動運転を可能にするセンサーやシステムが、人間のように運転中に何かに注意を削がれることなく、常に危険を察知し、安全を最優先することで安全な車社会を実現できると期待されています。

安全の他にも、自動運転によりドライバーが車の操作から解放され、車での移動時間中に仕事やエンタメなどを楽しむことができるようになります。多くの人が1日24時間では足りないと感じる忙しい生活を送る中、ボルボのライドパイロットのような自動運転機能は移動時間の有効活用を可能にしてくれます。

ドライバーに代わり車両の操作を行う自動運転技術や運転支援技術は、ミスが許されないものです。残念ながら、テスラの運転支援技術「オートパイロット」が関係する複数の事故に見られるように、自動運転システムにはまだ課題が残されています。テスラのオートパイロットは完全自動運転システムではないので、ドライバー自身が走行中に注意を払うことが前提です。それでも、ドライバーが注意散漫になることはよくあることです。

サブスクリプションで提供

ボルボがこの度発表したライドパイロットは、次世代電気自動車購入時にオプションとして付加するのではなく、サブスクリプション機能として提供される予定です。

購入した車の使いたい機能のために毎月自動車メーカーにお金を払わなければならない、という考え方は、多くの人にとってまだ馴染みのないものです。しかし、購入時に装備されていない機能を、顧客が追加料金を継続的に支払って手に入れるというサブスクリプションサービスは、ボルボだけでなく、多くの自動車メーカーが導入を進め、今後もこの傾向は増えるものと見られています。

自動運転技術開発企業との共同開発

ライドパイロットは、ボルボと、自律走行ソフトウエアを開発するZenseact社が共同で開発を進めています。Zenseactは、ボルボの社内開発チームとボルボの別の技術パートナー企業Luminar(ルミナール)とともに開発を行いました。このソフトウェアは、近い将来発売が予定されているボルボの完全電気自動車SUVに組み込まれた24個以上のセンサーと連動して動作します。

ライドパイロットのセンサーは、Luminar社のLiDARセンサー「Iris」、5つのレーダー、8つのカメラ、16の超音波センサーで構成されています。人間が運転しない車両にとって、歩行者、車両、その他の障害物を検知することは、安全のために非常に重要となり、車両が進路上の障害物を検出することができるLiDARが、自律走行にとって要の技術となります。

ボルボは、搭載されるセンサーとソフトウェアの組み合わせにより、同社が誇る高い信頼性を確保すると述べています。将来発売される電気自動車SUVには、ライドパイロットを実現するために必要な装備が搭載され、ライドパイロットの高速道路での安全な運行を検証後、顧客への提供開始が予定されています。

ボルボは、これまでにスウェーデンの道路で自動運転の機能検証を継続的に実施するほか、欧州と米国でライドパイロット用のデータ収集を進めてきました。今回、ライドパイロットの先行導入地にカリフォルニア州を選んだ理由について、気候、交通条件、規制の枠組みが自動運転技術の開発に理想的だったと、ボルボは語っています。

ライドパイロットの展開計画

ライドパイロットに対応可能な完全電気自動車のSUVは2022年半ばまでに発売されると見られています。ボルボは、カリフォルニアでの先行導入後、ライドパイロットを世界の市場に徐々に展開していく予定です。

ライドパイロットに対応可能な完全電気自動車のSUVの車両価格、ライドパイロットのサブスクリプション価格に関してはまだ情報が明かされていません。

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