独ポルシェと日本のゲーム会社ポリフォニー・デジタルは、グランツーリスモのためにデザインされた新しい仮想レーシングコンセプト「ポルシェ ビジョン グランツーリスモ」を発表しました。ビジョン グランツーリスモ(VGT)と言えば、グランツーリスモシリーズ発売15周年を記念して、世界の自動車メーカーが自由な発想でグランツーリスモ(2ドアのスポーツカー)をデザインするプロジェクト。「ポルシェ ビジョン グランツーリスモ」は、ポルシェにとって初のビデオゲーム用コンセプトカーで、2022年3月4日に発売されるPlayStation 4およびPlayStation 5用の「グランツーリスモ7」に登場します。
1997年に発売されたグランツーリスモには、ホンダのインテグラType R、三菱のランサーエボリューション、ダッジのバイパー、ベクターのW8といった世界の名だたるスポーツカーや大衆車が数々登場していましたが、ポルシェの収録は意外にもかなり遅れてでした。当時ポルシェは別のゲーム会社エレクトロニック・アーツ(EA)社と独占契約を結んでおり、ゲームの世界でポルシェを運転するには、EA社の「ニード・フォー・スピード」をプレイする必要がありました。EA社との独占契約終了後、2017年に発売された『グランツーリスモSPORT』でポルシェが正式にデビューしたことは、ファンにとって待望のニュースでした。
グランツーリスモ参入後、ポルシェはVGTに全力で取り組んでいる様です。ポルシェスタイルのヴァイスプレジデントであるMichael Mauer(マイケル・マウアー)氏は、「純粋にバーチャルな世界のためにデザインされたマシンは、通常の量産車のデザインプロセスでは大きく規制されてしまうようなエキサイティングな可能性を私たちにもたらします」と語っています。
ポルシェVGTは、去年9月に発表されたポルシェ初となるフル電動レーシングコンセプト「ミッションR」と同様、EVスポーツカーです。タイカンを踏襲したポルシェらしさを感じるスタイルで、より顕著なホイールアーチと引き締まったシルエットが特徴的です。また、ポルシェVGTのドアは、フロントヒンジ式のキャノピードア。エレガントに開閉するドアは未来的な印象を与えます。
インテリアも未来的で、「ヨーク」と呼ばれる飛行機の操縦桿を模したデザインに上質なアルカンターラで包まれたステアリングホイールや、速度やドライビングモードなどの表示には、浮かんでいるかの様に見えるフローティングホログラムディスプレイを採用しています。
ポルシェVGTは、87kWhのバッテリーパックを搭載した全輪駆動で、航続距離は310マイル(約499km)を謳っています。パワートレインの数値については言及されませんでしたが、ポルシェは時速0-60マイルまでを2.1秒、静止状態から時速124マイルまでを5.4秒と主張していますので、気が遠くなるような速さです。
ポルシェは、VGTのようなプロジェクトは、単なるレーシングコンセプトにとどまらず、ゲーム愛好家と自動車愛好家の両方に永続的な体験を提供するために「不可欠な要素」であると語っています。さらに、ポルシェVGTは、フル電動レーシングカーの未来を大胆に予測しているそうです。
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