ボルボが「Concept Recharge(コンセプト・リチャージ)」と呼ぶ新しいコンセプト車を発表しました。同社は、コンセプト・リチャージは単なる将来のデザイン観や商品戦略を紹介する車ではないと述べ、企業としての未来図を示すマニュフェストだと説明しています。ボルボは、コンセプト・リチャージを通じて電気自動車の製造過程において、二酸化炭素排出量を削減するために取ることのできるステップを示しています。
現在、ボルボは2023年までに同社の全ラインアップを電気自動車化する計画を進めており、2040年までには二酸化炭素の実質排出量がゼロの状態である「気候中立」を達成することを目標に挙げています。コンセプト・リチャージは、リサイクル素材や再生可能素材から作られたタイヤなど、内外装ともにサステイナブルな素材を使用。また、空力特性の向上にも力を入れ、電気自動車の航続距離を延ばすことで、より環境に優しい車を目指しています。
ボルボは、二酸化炭素排出量に配慮したサプライチェーンや製造プロセスなどを採用することで、コンセプト・リチャージのライフサイクルにおけるCO2排出量を、2018年モデルのボルボXC60と比較して80%の削減を実現すると説明しています。ボルボは、同社誇るプレミアムな品質を諦めることなく、CO2排出量を削減を目指しているそうです。コンセプト・リチャージは、ライフサイクル全体のCO2インパクトを10トン以下になると見込まれていますが、そのためには100%再生可能エネルギーで充電しなければならないという注意点があります。
地域によっては、再生可能エネルギーがあまり利用されておらず、ライフサイクルでのCO2排出量が多くなることも考えられます。ボルボのOwen Reddy(オーウェン・レディ)氏は、電気自動車にとって航続距離は重要な要素ですが、単純にバッテリーを増やすことはできないと言います。バッテリーを増やすと、当然ながらバッテリーが重量が増加し、車両のカーボンフットプリントを増加させることを意味するからです。ボルボは、単にバッテリーパックを大きくするのではなく、車両全体の効率を最適化して航続距離を伸ばしたいと考えています。
ボルボは、コンセプト・リチャージに環境に配慮した製造方法を採用していますが、インテリアにも自然やリサイクルに配慮した持続可能な素材を使用。シートバック、ヘッドレスト、インストルメントパネルの上部など、インテリアに使用されている素材は、責任を持って調達されたスウェーデン産のウールで、添加物が使用されていない、自然な通気性のある布です。
コンセプト・リチャージでは、床とドア下部に100%ウールのカーペットを採用。シートクッションやドアなど人が触れる部分には、ボルボ・カーズが開発した環境対応素材「テンセル」が使用されています。また、シートバックやヘッドレスト、ステアリングホイールの一部には、ボルボが開発した「ノルディコ」という素材を使用し、これは、スウェーデンとフィンランドの持続可能な森林から採取したバイオベースの原料とリサイクル原料を使用して製造されたソフトな素材だそうです。この素材は、レザーに比べてCO2排出量を74%抑えることができるそうです。
他にも、下部の収納スペース、ヘッドレストの背面、フットレストに使用されているのは、ボルボがサプライヤーと共同で開発した亜麻複合材。この素材は、アマニから抽出した繊維を複合材に混合したもので、強度がありながら軽量な天然素材です。フロントバンパー、リアバンパー、シルモールディングなどエクステリアにもこの素材が採用されています。自然素材の複合材を使用することで、車両に使用されるプラスチックの量の削減が可能に。
コンセプト・リチャージに採用されたピレリ製のタイヤは、鉱物油を使用せず、94%が化石燃料不使用の材料で構成されて、天然ゴム、バイオシリカ、レーヨン、バイオレジンなど、再生可能な素材から成るそうです。
今回の発表でボルボは、コンセプト・リチャージの環境に配慮されたエクステリアやインテリアの詳細を紹介しましたが、そのモータの出力数や航続距離などのメカニカルな部分に関しては明かされていません。また現時点ではコンセプト・リチャージの製造開始時期などの予定も公表されていません。
コメントを残す