世界中の自動車メーカーは現在、自動車の生産に不可欠な半導体部品の不足に悩まされています。一部のモデルで生産を遅らせたり、休止したりするなど大きな影響が出ていますが、ここにきて新たな問題が浮上してきました。それは、ゴムの供給不足です。
タイヤやエンジンの部品など、あらゆる自動車部品に使われている重要な素材である天然ゴムが、生産量と供給量の不足によって工場に届かない可能性が出てきています。原料となるゴムの木は、主にタイなど温暖な地域で栽培されていますが、農作物と同じで気候の影響を受けやすく、洪水やそれに伴う葉の病気によって収穫に支障をきたしているとのこと。
新型コロナウイルスによるサプライチェーンの混乱や中国の備蓄などもあって、クルマの生産に必要な量が確保できなくなる恐れがあるため、フォードなど一部の自動車メーカーではこの状況を注視しています。サプライヤーの間でも供給量の確保を急ぐ動きが見られます。先物相場でもゴムの価格が不安定な状態となっています。
部品不足による収益への影響は、自動車業界における課題の1つとなっているのかもしれません。多くの自動車関連会社では、コスト削減のため、必要なものを必要なときに必要なだけ供給するジャストインタイム(JIT)の方式を採用してきましたが、パンデミックが発生した際、メーカーの柔軟性は限られたものとなってしまいました。
世界的に需要が回復し始めている中で、ゴム不足は自動車生産をさらに混乱させる可能性があります。また、ゴム不足の最大の問題は、原料の木が成長するのに7年かかるため、ゴム産業の回復にはかなりの時間がかかることです。
メーカーの中には、ゴムの供給についてあまり心配していないところもあるようです。フォードとステランティスは、ゴムの状況を注視しているるものの、今のところ影響は感じていないと述べています。GMも、現時点ではゴムの供給を心配していないとコメント。タイヤメーカーのミシュランは、ゴムを船で出荷するのではなく、アジアから直接空輸して調達する方法をとっています。
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