ネット通販大手のアマゾンは、電気で走る電動配送車両を使用するエリアを米国で拡大し、2月に導入したロサンゼルスに次いで、新たにサンフランシスコへの導入を発表しました。車両はEV新興企業のリビアンが開発・製造するもので、1回の充電で最大240kmの航続距離を持ちますが、サンフランシスコでは新たな課題に直面しています。
最も大きな課題は地形です。サンフランシスコやベイエリアは、坂道や急な傾斜が多いことで知られています。中でもフィルバート・ストリートと呼ばれる道路は、31.5%の勾配を持つ最も急な坂道です。
言うまでもなく、坂道を登るには多くのエネルギーを消費します。荷物を満載したEVであればなおさらでしょう。一方、下り坂では回生ブレーキ(減速時に電気モーターを発電機として使用し、電力を回収すること)が働き、多くのエネルギーを回収できるはず。高いところから低いところへ移動するだけで電力が蓄えられるのです。この位置エネルギーは、従来の内燃機関車では無駄になっていたものです。
アマゾンは最終的に、バッテリー容量や荷台の大きさ、駆動方式が異なる数種類の配送車を用意する予定です。アマゾンとリビアンはこれまでに、導入する地域ごとの特性に合わせて、個別にセットアップを組むと述べてきました。
しかし、それ以上に大きな違いを生むのは、配送車自体のルート設定です。各車両にはコネクテッド機能が搭載されており、ダッシュボード上のタッチスクリーン・ディスプレイには、ルートやドライバーのその日の予定が表示されます。また、ナビの地図情報を利用し、無駄な電力消費を回避したり、回生ブレーキが作動する時間を最大化したりするなど、効率的なルートを計画することができます。
アマゾンによると、電動配送車は特別な訓練を受けた従業員が運転しているといいます。これまではカリフォルニア州の配送ステーションでのみ稼働していましたが、ベイエリアでの配送もまもなく開始される予定で、最終的にはアマゾンが最近買収したサンフランシスコの土地に2億ドルを投じて建設中の新施設も配送ステーションとして使われることになりそうです。
アマゾンは、2021年内に14の都市でリビアン製電動配送車を導入する計画を立てています。2022年には10,000台を稼働させることを目指しています。
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