インドの自動車大手、マヒンドラが米国で展開しているSUV『ロクサー』に対し、FCAが米国際貿易委員会(USITC)に対し「ジープに酷似している」として知的財産権の侵害を訴えていた件で、同委員会はこの訴えを退けました。マヒンドラは勝利宣言を出しています。
マヒンドラとFCAによる争いは2018年から続いていました。ロクサーを米国へ導入するにあたり、FCAは「ジープの『トレード・ドレス(製品デザイン)』とトレードマークを侵害している」と主張。USITCに提訴し、同委員会はマヒンドラの調査に乗り出しました。
具体的に指摘されているのは、両端がカーブしたフラットなボンネット、グリルより長い台形フェンダー、フラットなサイドボディを持つ箱型のスタイル、フラットなフロントグリルと垂直に伸びたグリルスロット、人目を引く円形のヘッドランプ、むき出しのラッチなど。
これらのデザイン要素がジープのモデル、特にウィリスジープやラングラーに関連しているとされています。問題を複雑化させたのは、マヒンドラが「古いジープからインスピレーションを受けている」と公言していることです。マヒンドラは、1940年代にジープと合意したライセンスに基づいて、クラシックカーをモデル化したと主張しました。
これに対しFCAは、「ジープブランドのコンポーネントおよび車両を製造または販売する限定的な権利を与えたが、知的財産の所有権を与えたわけではない」と反論。「米国内でジープのアイデンティティを組み込んだ製品の製造・販売・広告を行う権利は一切付与されていない」として、米国からロクサーを締め出そうとしたのでした。
そして2020年6月、USITCはFCAの主張を受け入れ、マヒンドラによる知的財産権の侵害を認定しました。ところが12月23日、同委員会は一転して知的財産権は侵害されていないとする裁定を下しました。ロクサーのデザインが変更されたことなどが考慮されたようです。
マヒンドラは同日、ジープとの訴訟で勝利したとの声明を発表。知的財産権の侵害を否定しました。マヒンドラは、アクティブなアウトドアライフを送る人々をターゲットにロクサーを開発したといいます。ラングラーではなく、サイド・バイ・サイド・ビークル(SSV)に近いサイズ感の高性能オフローダーになるとのこと。
記事執筆時点では、ロクサーのコンフィギュレーターはまだクローズされている状態です。マヒンドラはページ上で、2021年モデルのロクサーが生産に入れば、コンフィギュレーターが有効になると記しています。ロクサーがジープの法務チームと衝突する以前は、15,500ドル(160万円)で販売されていました。
ロクサーは私有地のオフロードや農場などでの作業用の車両として設計されており、公道を走ることはできません。箱型のスチールボディを備えたこのクルマは、2.5L ターボディーゼルエンジンを搭載した某ジープよりも耐久性に優れているとされています。搭載されているエンジンは、62馬力と195Nmのトルクしか発生しませんが、重量は1,360kg強に抑えられ、オフロードでも十分な性能を発揮するはずです。
ロクサーはインドで生産されますが、米国には未完成車として輸入され、デトロイトの工場で最終的な仕上げを行うことで「米国製」としています。これによりコスト削減と、米国で700人の雇用創出が可能だといいます。
日本の自動車メーカーもこれくらい趣味性のあるカッコいい車を販売して欲しい。jimnyの独断場なのに何故販売しないのか不思議で仕方無し!