メルセデス・ベンツは、早ければ2021年にも生産の開始を目指しているゼロ・エミッション・トラック3台を発表しました。水素燃料電池とバッテリー駆動のEVを採用しており、都市部でも長距離でも1,000km以上の航続距離を実現する可能性を秘めています。
まず最初に登場するのは、2018年に初公開された電動トラック、「eアクトロス(eActros)」です。ダイムラーが明らかにしたところによると、2021年に量産が開始される予定で、航続距離は200kmを超えると言われているます。
同社によると、このトラックは「都市部での配送」に適しているものの、重荷重にも対応できるといいます。走行試験は2018年から行われており、市販モデルは2軸および3軸が用意され、通常のエンジン搭載仕様のアクトロスに匹敵する積載量を持つと期待されています。また、ルート分析、フリートインテグレーション、充電インフラソリューションなどの機能を備えたスマートトラックとなる予定です。
続く兄弟車「eアクトロス・ロングホール」も完全EVですが、1回の充電で約500kmの走行が可能なバッテリーを搭載しています。これはディーゼルエンジン搭載車に比べれば大した距離ではありませんが、充電にかかるエネルギーコストが比較的低い点がメリットになるといいます。ダイムラーによると、eActros LongHaulの生産開始は2024年になる見込みで、それまでにインフラ整備を急いでいます。
最後の「Gen H2」は、この3つのモデルの中で最も興味深いトラックです。水素燃料電池を搭載しており、満タンで1,000km以上の走行が可能だといいます。2023年には顧客試験が行われる予定です。
「気体水素ではなく液体水素を使用し、エネルギー密度が高いため、従来のディーゼルトラックと同等の性能を発揮する予定です」(ダイムラー)
Gen H2は2つのタンクと新燃料電池システムを搭載し、複数日の走行を可能にするとしています。車両総重量は40トン、積載量は25トンの見込み。
この燃料電池技術は、ダイムラー・トラックAGとボルボ・グループとの提携(今年4月に締結)に基づいて共同で開発しているものです。液体水素タンクの容量は40kgで、真空層を挟んだ二重構造になっていると予想されます。150kW × 2基に加え、バッテリーの電力により一時的に400kWを発揮します。
バッテリーの目的は、長時間の駆動よりも一時的なパワーブーストであり、容量はわずか70kWh。バッテリーの充電には充電スタンドへの接続ではなく、余分な燃料電池のエネルギーと回生充電を使うことを想定しています。
メルセデスが乗用車用のEVプラットフォームに取り組んでいるように、ダイムラー・トラックも同様のアーキテクチャーでゼロエミッション輸送に取り組んでいます。その第一歩が、車軸、1~2基のモーター、トランスミッションからなる統合型電気駆動装置として自社開発された「eDrive」です。
その結果、小型軽量で効率的なパッケージとなり、1回の充電で長時間走行でき、積載量への影響が少ない車両が実現するとダイムラーは主張しています。この技術は、2039年までに欧州、北米、日本でカーボンニュートラルなトラックのみを提供するというダイムラーの公約達成に貢献するでしょう。
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