ブガッティ『チェントディエチ(Centodieci)』の製作中のプロトタイプが公開されました。2022年の納車開始に向け、着々と開発が進められています。ブガッティの創立100周年を記念して誕生したチェントディエチは、W16クアッドターボエンジンを搭載した、同ブランドで最もパワフルなモデルです。
このデザインは、ブガッティの元オーナーであるロマーノ・アルティオーリ氏と建築家のジャンパオロ・ベネディーニ氏が1990年代初頭に開発指揮を執ったスーパーカー『EB110』をオマージュしたものです。
チェントディエチは『シロン』をベースにしており、2019年の「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」でコンセプトが初公開されました。10台のみの限定生産で、価格は800万ユーロ(10億円)。発表後数時間のうちに完売したといいます。
ブガッティのワンオフおよび少数生産プロジェクトのテクニカル・マネージャーであるアンドレ・クリング氏は、次のように述べています。
「わたし達は非常に小さなシリーズを作ると同時に、大きなシリーズの品質と安全性の基準をすべて満たし、それ以上のものを作らなければならない。新しく開発される車両はどれも、計り知れない挑戦となっている」
搭載されているパワーユニットは8.0LのW16エンジンで、1,600馬力を発揮。ブガッティが1,870万ドル(約20億円)をかけて製作した『ラ・ヴォワチュール・ノワール』や『ディーヴォ』、『シロン スーパースポーツ300+』よりもパワフルです。
また、ベースとなっている標準のシロンよりも20kg軽量で、グランドツーリングカーよりもサーキットでの活躍が期待されています。
この驚異的なパフォーマンスを持つチェントディエチは、少しの刺激で怯えた猫のような動きをすることができます。0-97km/h加速は2.4秒、最高速度は380km/hに達します。ちなみに0-200km/h加速は6.0秒、0-300km/h加速13.1秒という数値を誇ります。クリスティアーノ・ロナウド氏が注文するのも不思議ではありません。
また、開発陣はデザインにも力を入れています。
「新設計のボディでは、特別なコンピュータープログラムを使ってシミュレーションしなければならない部分が多くあった」とクリング氏。
ブガッティの伝説的なモデルであるEB110のくさび形ボディをベースに、小さな馬蹄形グリル、3分割のフロントエアインテーク、ボンネットに取り付けられたブガッティの「マカロン」バッジ、円形ガイドフラップなど、クラシックなスタイリングを継承しています。
また、手動で調整可能なリアウイングとアグレッシブなリアディフューザーにより、90kg以上のダウンフォースを発生させます。
開発は順調に進んでおり、次のステップは実際の道路でチェントディエチがどのようなパフォーマンスを発揮するのかを確認することです。
「数か月後にはテストコースに出て、シャシーのチューニングを始めることをとても楽しみにしている」とクリング氏は締めくくりました。
納車は2022年初頭までに始まる予定です。