伝説的なブガッティのレーシングカー、『タイプ35』のワンオフモデルが登場しました。オリジナルモデルよりも車高が低く、スタイリングも曲線的で、さらに軽量化を実現。アウディ『AI:ME』などを手がけたデザイン会社Uedelhoven Studiosが製作しました。
ドイツを拠点とするUedelhoven Studiosは、ヒュンダイ『プロフェシー』のような個性的なコンセプトカーを生み出してきた会社です。同社がタイプ35 Dの開発に着手したのは2015年のこと。
タイプ35 Dは、以前に発売された子供向けの「ベイビーII」とは異なり、サイズは実物大。ブガッティの伝統的な馬蹄形グリルや細身のボディライン、ライトブルーの塗装など、オリジナルのデザインを再現しました。
また、オリジナルと同様にヘッドライトがなく、露出したホイールやサスペンションは1930年代のヴィンテージカーを彷彿とさせます。リアディフューザーを新たに採用し、トラクションと高速走行時のハンドリングを向上させています。
インテリアは豪華な仕上がりとなっています。高級牛革、ウッド、カーボンファイバーを使用し、センターコンソールは『シロン』のようなデザインに。ドライバー正面には、丸いダイヤルとデジタルインジケーターを備えたヴィンテージ風のメーターを搭載。
パワートレインについては明らかにされていません。初代ブガッティ タイプ35は、『タイプ29』の3バルブ2.0L 直列8気筒エンジンを継承。オーバーヘッドカムシャフトと特製のボールベアリングシステムを採用した直8エンジンは、6,000rpmまで回転させることができ、最高出力90馬力を発生させます。1920年代後半でこのパフォーマンスはとてつもないものでした。
エットーレ・ブガッティは強制吸気を好まなかったようですが、タイプ35 Cではゼニス製シングルキャブレターとルーツ製スーパーチャージャーを搭載し、出力を128馬力にまで高めました。1925年にはタイプ35が過酷なタルガ・フローリオ耐久レースで優勝。1926年、1927年、1928年にはタイプ35 Tが優勝しています。
Uedelhoven Studiosのタイプ35 Dが量産されるかどうかは未定で、レースに使用される可能性についても明らかにされていません。しかし、1台限りのショーカーとしては、久しぶりに見るブガッティの中でも最も魅力的な1台と言えるでしょう。