2015年、惑星探査機ニューホライズンが冥王星のそばを通過し、撮影された画像の1つは、この月の直系にも満たない小さな惑星が、かすんだ大気を持っていることが確認されました。冥王星周辺の霞がどのようにしてできたかを解き明かすのにこの最新のデータが検証されました。冥王星の遠隔観測は航空機搭載成層圏観測所 (SOFIA) によって行われています。
大気の予想はされていたが、ようやく観測
今回の観測結果は、冥王星の周りの薄い霞が、すぐに地表に落下するのではなく、大気中に長期間とどまる非常に小さな粒子でできていることを示しています。このデータは、煙霧粒子が活発に補充されていることを示しており、冥王星が太陽の周りを248年の軌道で、より寒冷な宇宙空間へ移動する際の大気の運命の予測をたてています。
このプロジェクトに参加している科学者たちによると、初期の遠隔観測では、冥王星の周りに、もやがある可能性が示唆されていたということです。しかし、SOFIAで観測するまでは、その存在を確認する実質的な証拠はありませんでした。科学者たちは現在、冥王星周辺の大気が今後数年間で崩壊するのではないかと疑問視していると述べています。彼らは、大気は思っていたより回復力があるかもしれないと言っています。
大気の厚さはおよそ30キロ
SOFIAが冥王星を研究していたのは、ニューホライズンズが2015年7月にこの準惑星を通過するわずか2週間前のことでしたが、この観測は、冥王星が地表に薄い影を落とす日食に似た現象である「掩蔽(えんぺい:星食)」期間に行われました。このとき、SOFIAは冥王星の大気中層を赤外線と可視波長で観測しました。これらの観測は、電波と紫外線を使ったニューホライズンズからの観測と組み合わされ、これまでにない冥王星の大気の全容が明らかになりました。
このデータは、太陽の遠方の光の下で表面の氷が蒸発する際に、青くかすんだ大気が作られる事がわかります。冥王星周辺の大気はほとんどが窒素ガスで、少量のメタンと一酸化炭素も含まれていました。メタンなどのガスが、冥王星の表面に降り注ぐ太陽光に反応するため、煙霧粒子は地表からおよそ30キロ以上上空の大気中で形成されます。SOFIAによると、粒子の厚さは0.06から0.10ミクロンと非常に小さいことが明らかになっています。科学者たちは、冥王星の大気の運命についての予測を再評価しています。