自宅待機を支えるサービスが特需を迎えているようです。コロナウイルスは世界中のビジネスの風景を根本的に変えました。サプライチェーンの混乱、店舗の閉鎖、需要の消失など、ほとんどの企業がコロナウイルス感染の影響を受けています。しかし、一部の企業では提供するサービスの性質上、非常に活況を呈しています。この未曾有の事態に一体どのような変化があったのでしょうか。在宅勤務に必要なクラウドサービス、エンタメ、eコマース、ヘルスケアの領域に注目してみましょう。
クラウドで提供される生産性向上ツールの需要増
Web会議システムはユーザー数を桁違いに伸ばしています。現在では企業活動を継続するのになくてはならない存在です。
コラボレーションツールは売り上げ、ユーザー数を急拡大しています。Microsoft TeamsとSkypeは売上を急上昇させています。特にTeamsは2019年11月以降、ユーザー数が先月で4400万人と倍増しています。また、メッセージングサービスを提供するSlackは先月、有料顧客を新たに7,000社獲得し、各四半期の決算期を40%上回りました。
ビデオ会議アプリのZoomは、在宅で営業するビジネスの恩恵を受け、1月以降、株価はほぼ2倍に急騰しています。ビデオ会議アプリでこれほど柔軟性と使いやすさを提供しているものはほとんどありません。現在では多くの企業に選ばれているプラットフォームとなっています。
しかし、Zoomの伸びが鈍化しないとも言い切れません。セキュリティとプライバシーの欠陥が明らかになり、Zoomの信頼性に疑問が投げかけられています。多くの学校や企業がZoom使用を禁止し始めています。第三者が重要なミーティングに侵入を許す、またエンドツーエンドの暗号化がなされていないなど、大きな問題を抱えているのです。
家庭向けエンターテイメント・娯楽
Nintendo Switchは必需品ですが、手に入れられれば最高です。コンソールは売り切れているか、非常に高い値段で販売されています。例えばBestBuy、GameStop、Target などの海外量販店サイトを見てみると大変なことになっています。発売時、Switchの価格は300ドル(約3万2,268円 2020年4月21日現在)でした。ところが「どうぶつの森」ファンが自宅で発売を待ち望んでいるため、需要は急増し、価格は500ドル近くまで高騰しています。どうしても遊びたいのであれば、スイッチライトを選ぶことになるでしょう。ただ、同居する家族が羨んで、自宅待機の期間に一人ぼっちで遊ぶことになるかもしれません。
同様に、ストリーミングサービスも活況です。Disney+は発売からわずか5ヶ月で、世界5000万人の加入者を突破しました。ところがまだ多くの主要地域でのサービス開始には至っていないのが現状です。例えばウォルト・ディズニー / マーベル・スタジオの「ワンダヴィジョン」のような目玉コンテンツのリリースはまだ多くありません。他の競合ストリーミングサービスにとってはやや心強いニュースです。
モバイル市場の調査会社である Apptopiaによると、Netflixの加入者数は約1億6,700万人で、1月から約6,000万ものダウンロード数を記録しています。Netflixと言えばそのオリジナル作品にも注目です。タイガー・キング、マネー・ハイスト、そしてキングダムや愛の不時着のような多数の韓国ドラマが話題となり、多くのバズを作り出してきました。
ロハスやフィットネス
ライフスタイルやフィットネス企業が活況を呈しています。家にいながら体力や免疫力をつけることに注力できるからです。JD.comによると、ヨガマットの売上は150%、ダンベルの売上は60%急増しているそうです。こういったアイテム以外にもフィットネスアプリの人気も高まっています。中国のフィットネスアプリ「Keep」をご存知でしょうか。アプリストアで常に上位にランクインしている、フィットネスのオンラインプログラムの提供を受けられるアプリで、存在感を強めています。そのほかにも自宅でヨガ教室に参加できるなど、様々なフィットネスサービスがオンラインへと移行しています。
ヘルスケアと衛生用品メーカー
未曾有の事態となった現在、投資家の関心はヘルスケアの領域に集まっています。例えば、クリーニング用品メーカーのクロロックスのような企業に熱視線が注がれています。米国株が全体的に下落する中、クロロックスの株式は17%以上も上昇し時価総額は227億ドル(約2兆4,417億円 2020年4月21日現在)を記録。1970年代初頭以来の高値を記録しました。
トイレタリーメーカーのレキットベンキーザーにも注目です。同社のDettolとLysolの工場は、COVID-19の流行で需要が急増しています。レキットベンキーザーは、石鹸や消毒剤製品の受注増に対応するために、追加シフトを行っており、工場をフル稼働させていると述べています。
ECなどの電子商取引
ECサイト・サービスもやはり賑わいを見せています。店舗やモール、企業のオフィスが閉鎖されたため、人々の買い物ニーズはeコマースのプラットフォームへと向いているからです。
アマゾンだけでも注文が急増しています。その結果、10万人以上の倉庫や配送業者を雇用する計画が生まれ、バイヤーに商品を送るためのラッシュを満たすために働いています。ところが、たくさんの従業員がいつものように出勤することで問題も発生しています。アマゾンの倉庫内で感染症のクラスターが表面化し、労働者にとってストレスの多い時期となっているのです。これに対応するため、アマゾンは4月までの間、米国では倉庫や配送員の給与を引き上げ、時給2ドル(約215円 2020年4月21日現在) 追加しています。
実際、多くのeコマースプラットフォームは、配送に対する巨大なプレッシャーに晒されています。ユーザーからの注文の多くは、必需品や食料品の即日配送であり、迅速に到着する必要があるからです。オンラインショッピング配送サービスのOcadoは、「トラフィックの驚異的な量」を理由に一時的にサービスを停止しました。注文を捌き切れなかったのです。同社では、現在の注文状況を一掃し、配送までのより良いプロセスを再考中であると、自社のWebサイトで伝えています。