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Galaxy S20 Ultra 5Gの100倍ズームはもどかしい蛇足

サムスン Galaxy S20 Ultra 5Gは、5G対応、8K動画撮影対応、120Hリフレッシュレートのディスプレイと高機能を詰め込んだGalaxy S20シリーズの最上位機種。その注目機能は、背面に搭載された4つのカメラの1つである望遠レンズの「スペースズーム」と称した100倍ズームです。もちろん、今回SlashGearチームがGalaxy S20 Ultra 5Gを手にして最初に試したのもこの100倍ズーム機能。そして導いた結論は、100倍ズームができるからといって必ずしも100倍ズームをするべきではないということ。それでは、SlashGearチームがその結論に至った理由をご説明しましょう。

手ブレとフレーミングの難しさ

Galaxy S20 Ultraを手にしたユーザーは100倍ズームの画質を評価する以前に、実際に写真を撮ろうと構えた時点で100倍ズームの実用性に疑問を感じ始めるでしょう。最近のスマートフォンは、性能のよい光学式・デジタル式手ブレ補正を備えているので、特段意識することなくシャッターを押しても、ピンボケのない、それなりの写真に仕上がります。

Galaxy S20 Ultra 5Gのズーム機能は、この光学式・デジタル式手ブレ補正機能が普段いかに私たちの意識しないところでその役目を果たしてくれているかを実感させてくれます。なぜなら、Galaxy S20 Ultra 5Gでは100倍までズームしなくても、30倍ズーム辺りから、手ブレを補正しようとしているのが、ピクピクと動く様にぶれるのをプレビューから感じとることができてしまうからです。

100倍ズームで撮影しようとすると、手ブレとフレーミングの難しさはさらに顕著になります。サムスンはフレーミングを補助するために、撮影画面にズーム領域がわかるサムネイルを用意していますが、それでも簡単にはいきません。被写体が動いているとなると、その難しさはなおさらです。リスを撮影しようと試みましたが、リスにズームし、ピントを当て、シャッターボタンを押す前にリスが動いてしまい、写真におさめることができなかったという体験をしました。

100倍ズームでの手ブレは厄介な問題で、三脚を使っての撮影でも画像の揺れは見受けられました。タイムラスプ撮影するときの様に、スマートフォンを完全に固定することができれば、より安定した高ズームの写真を撮影することができますが、通常の三脚撮影ではフレーミングの際に、ズームインとズームアウトを繰り返したりと、どうしても画面を触る必要が生じます。その度にカメラが少し揺れ、または被写体が移動。そしてピント調整のやり直し…といった具合になります。

そこにいるのは、リスさん…?

日本で販売されているスマートフォンには盗撮防止措置としてシャッター音が鳴るようになっています。Galaxy S20 Ultra 5Gのように高ズームが可能なスマートフォンは、覗き見や、遠くからクレジットカード番号などの重要な情報を盗み見たりなど、良からぬことに利用される可能性があるのではとの懸念もあります。しかし、実際Galaxy S20 Ultra 5Gを試したところ、その心配はなさそうだと感じました。なぜなら、100倍ズームでは画質がかなり落ちてしまい、被写体の細部を把握できるような画像に仕上がらないからです。

この画質ではGalaxy S50 Ultra 5Gの100倍ズームで撮影した写真を誰かに共有しようと思う人は少ないでしょうし、写真を共有した場合、きっと、なぜ写真が水彩画加工アプリでも使用したような画質なのか、と質問されるでしょう。実用的なのは、せいぜい20倍か、30倍ズームではないでしょうか。

ここで、左側に1倍、右側に100倍ズーム写真を並べたものを何枚かご紹介します。すべて三脚を使わず手持ちで撮影し、可能な限り1倍ズームの真ん中にある被写体をズーム対象としています。また、画像は、読み込みスピードを考慮して縮小してあります(この縮小は画質に影響を与えないと考えて問題ないでしょう)。

100倍ズームでの画質がイマイチでも楽しめる方法があれば…

Galaxy S20 Ultra 5Gにも「LG V40 ThinkQ」のような、倍率を切り替えた写真をつないだビデオが作成される機能を期待していました。超広角、広角、望遠レンズの切り替えがスムーズなGalaxy S20 Ultra 5Gなら、より楽しいビデオができあがるだろうと。

LG V40 ThinkQの倍率を切り替えた写真をつないだビデオ。トリプルショットモードで撮影すると自動でビデオが作成される。

超広角から望遠で撮影した写真にズームインしたり、はたまた望遠から、広角、そして超広角と、ゆるやかにズームアウトしたりするビデオはSNSでも目を引くだろうと。しかし、あいにくこのような機能はGalaxy S20 Ultra 5Gには備わっていません。100倍ズームの画質がそれ自体では楽しめるクオリティーではない中、楽しめる方法の提案がされていないのは、大きな機会ロスとさえ感じます。正直、こういった楽しみ方以外に100倍ズームの使い方が思い浮かばないのです。

Galalxy S20 Ultra 5Gの100倍ズームは確かにすごい機能ですが、その画質は残念ながらすごいと言えるものではありません。まだGalaxy S20 Ultra 5Gのテストを始めたばかりですが、10倍や20倍への切り替えはスムーズに感じますし、10倍や20倍と低倍率(少なくともGalaxy S20 Ultra 5Gにとっては)の画質は十分優れたものに出来上がっています。