電気自動車(EV)はガソリン車と比べ環境に優しく、お財布にも優しいと言われていますが、健康にも優しいのでしょうか?スウェーデンのヨーテボリ大学の研究結果では、EVが健康にも優しいことが分かりました。市内のバスを完全な電気バスに置き換えたところ、バス路線沿いに住む住民の健康にプラスの影響があったのです。その主な理由は研究でも指摘されているように、電気バスへの切り替えによって騒音が軽減されたからだそうです。
低周波の騒音は、壁や窓などで遮断されにくく、長時間にわたって継続して低周波が発生する環境では健康に影響を与える可能性があります。ヨーテボリ大学の研究論文では、低周波騒音は、睡眠障害、疲労、集中力の問題などにつながる可能性があると言及しています。ですから、この騒音の発生源を取り除くと、普段騒音にさらされている人の健康が改善されるというのは、理にかなっていると言えるでしょう。
ヨーテボリ大学の調査では、調査参加者に、市内を走るバスが電気バスへ切り替え前と切り替わった後の健康状態についてアンケートを実施しました。調査参加者の半数はバスの路線沿いに住み、残りの半数はバス路線から離れた場所に住み、2つのグループを比較。電気バスに切り替える前と後に多くの家庭で低周波騒音のレベルを測定したところ、測定値と参加者の知覚の両方で、騒音レベルの変化が確認されたことが分かりました。
電気バスが導入されると、バス路線沿いに住む参加者の健康に顕著な影響が見られ、電気バス導入前は49%の参加者が週に1〜2回疲れを感じると回答していましたが、導入後は39%に減少しました。また、気分が落ち込むと答えた人も22%から17%に減りました。このような変化が持続するかどうかは不明ですが、この結果は非常に有望であり、自動車からの低周波騒音を低減することが人々の健康に良い結果をもたらす可能性を示しました。