GMの自動運転開発部門であるCruise(クルーズ)は、今年2月に米サンフランシスコで自動運転のロボットタクシーのテストを開始しましたが、今月初め、サンフランシスコ警察が、ヘッドライトを消して運転していたとして、Cruiseのロボットタクシーを停車させました。Instagramに投稿された動画には、夜の市街地で自律走行するCruiseの車に近づく警察車両と警察官1人が映っています。無人走行車を制止させた警察官は、左ハンドルの米国で多くの警察官が通常停止させた車に近づくのと同様に、運転席のある左側から車に近づいていきます。
画像では、警察官は、停止させた車の運転席には運転手がいないことに気付き、戸惑った様な姿が伺えます。警察官が一旦パトカーに戻るためにロボットタクシーに背を向けたところ、ロボットタクシーは発進し、信号近くの空いている駐車スペースに停車。パトカーはCruise車を追跡し、再び停止したロボットカーを警察官が取り囲み、一人の警察官は電話、もう一人の警察官は無線連絡をしている様子が映し出されています。しかし、この一連のシーンがCruise車が一瞬、警察から逃走するかの様に見えるとインターネット上では話題になっています。
ロボットタクシーの取締は未知の領域
動画を視聴した人からのCruise車が警察から逃走しているとのコメントに対し、Cruiseは、同社のロボットタクシーは 「意図したとおり、最も近い安全な場所 」で停止したとツイートしています。Cruiseの担当者はBBCの取材に対し、そもそも車が停められた理由であるヘッドライトの故障は、ヒューマンエラーの結果であることを示唆しました。
同社によると、ロボットタクシーにはマイクが装備され、サイレンを聞いて対応できるようになっています。また、同社には専用の電話番号を持つエスカレーションチームがあり、警察などからの問い合わせに対応しています。また、必要に応じて自律走行車のドアを遠隔操作で開錠し、安全な場所に停車させることも可能です。しかし、自動運転車が法を犯して警察に止められるのは今回が初めてではなく、これが最後でもないでしょう。
自動運転の分野で進んでいる米国でも、現時点では警察が自動運転や無人運転に対応する際のガイドライン等は用意されていません。Cruiseは、昨年11月、YouTubeに「Cruise自動運転車との接し方:ファーストレスポンダー向けガイド」と題した動画を投稿しました。この動画では、Cruise車の特徴や、Cruise車の技術の他、警察官、消防士や救急隊員などが異なるシチュエーションでCruiseの無人走行車に遭遇した場合の対応例を紹介しています。
Cruiseなどの無人走行車を展開する企業は、録画した警察とのやり取りの全ての音声と動画を警察に提出することで、警察による今後の対応の検討の促進できるでしょう。また、警察は、一般道を無人走行車が走ること自体は合法とされているとの認識を警察官の間で拡めることが、今後来るとされる自動運転社会に向けた必要な動きと言えるでしょう。