米国エアバスが水素を主要動力源とする新しい航空機コンセプトを発表

エアバスが新たな3つのコンセプト航空機を発表しました。注目すべきは15年以内の商業運航の可能性を秘めたゼロエミッション飛行を約束している点です。3つのZEROeコンセプトはすべて水素を主要動力源として使用しており、従来のジェット燃料よりもはるかにクリーンで持続可能な選択肢であると主張しています。

エアバスが挑む水素移行とゼロ排出航空機のコンセプト

「本日発表したコンセプトは、ゼロ・エミッション飛行の未来に向け、大胆なビジョンを推進する我々の野心が、世界にさらされることとなったのです」とエアバスのCEOギョーム・フォーリー氏は3つのコンセプトについて述べています。「合成燃料と民間航空機の主要動力源の両方で水素を使用すれば、航空機の気候変動への影響を大幅に軽減できる可能性があります」とも同氏は述べています。

3つのコンセプトはすべてZEROeと名付けられていますが、それぞれ全く異なるアプローチをとっています。まず1つ目を見てみましょう。ガスタービンエンジンは、水素で走るように改良されており、ZEROeターボファンの設計は最大級のもので、120~200人の乗客を乗せ2,000海里(約3,704km)以上の距離を飛行するように設計されています。例えば米国のサンフランシスコからニューヨーク間(約4,100km)には届かないものの、東京からベトナムの首都ハノイへのフライト(約3,600km)はカバーできる計算です。エアバスによると、水素は液体水素として後部圧力隔壁の後ろのタンクに貯蔵され、この燃料を燃焼に利用してタービンを駆動させられます。

2つ目はZEROeターボプロップ設計です。こちらはやや小型です。ターボファンではなく、プロペラ付きのターボプロップエンジンを使用しますが、改良されたガスタービンエンジンでの水素燃焼にも依存します。エアバスによれば、航続距離は1,000海里(約1,852km)を超え、短距離飛行では100人までの乗客を収容できます。

デルタ翼のZEROeは新たなキャビンレイアウトを実現するか

最も特徴的なのは、3つ目のZEROeと呼ばれる複合翼機のコンセプトです。主翼が機体と一体になった「デルタ翼」での登場が構想されています。ターボファンのコンセプトと同様に、航続距離は約2,000海里(約3,704km)で、最大200人の乗客が搭乗可能です。胴体は「非常に広い」とエアバスは指摘していますが、これは客室のレイアウトに新たなパターンをもたらす可能性があります。また、水素貯蔵や水素流通のための複数の選択肢を残すのも視野に入れられるとしています。

商業展開は2035年の見通し

気になるのは商業展開のタイミングです。エアバスによれば、3つのコンセプトが実用化に耐えられると判断されれば、2035年までに商業展開がなされるであろうとしています。もちろん、実用化の準備が必要なのは航空機だけではありません。航空機が実際に燃料を補給できるようにするためには、包括的な水素インフラも必要になります。

「コンセプト機の主要動力源を水素へと移行していくには、航空エコシステム全体からの並々ならぬ実行力が求められます。」とフォーリー氏は語ります。政府や産業界のサポートを期待しつつも「再生可能エネルギーと水素を航空産業の持続可能な未来のためにスケールアップする、そのような挑戦ができるのだ」と述べています。

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