世界初の水素を燃料とするスーパーカー、ハイペリオン「XP-1」が発表されました。従来の内燃機関を持たず、バッテリーを搭載するEVでもありません。開発にはNASAの宇宙技術が使われており、圧倒的なパフォーマンスを発揮します。宇宙船に似たデザインですが、XP-1はコンセプトではなく市販車です。
「XP-1は、部分的には大衆向けの教育ツールとして機能するように設計されました」
アメリカのスタートアップ企業ハイペリオン社(Hyperion)の創立メンバーでありCEOでもあるアンジェロ・カファンタリス氏は語ります。
「航空宇宙技術者は、宇宙で最も豊富で最も軽い元素である水素の利点を長い間理解していましたが、このクルマによって、消費者はその並外れた価値を体験することになります」
構造的には、堅牢なカーボン製モノコックフレームとチタンを練り込んだボディを採用。重いバッテリーを運ぶ必要がないため、XP-1は1,248kgと軽量化されています。
カーボン製のタンクに水素を貯蔵し、燃料電池から電力を生成して電気モーターにより4輪を駆動します。
控えめに言っても、その性能は驚くべきものです。ハイペリオンによると、0-97km/h加速のタイムは2.2秒以下。最高速度は時速355kmを超え、航続距離は約1,635kmに達します。
ロータスの電動ハイパーカー「エヴァイヤ」と比較してみましょう。エヴァイヤは最高出力2,000馬力を発生し、3.0秒以下で時速97kmに達します。ハイペリオンXP-1は、EVであろうとなかろうと、現代のハイパーカーと同等の速さを持っているのです。
また、EVとは異なり、水素ステーションでのエネルギー補給は数分で済みます。
ハイペリオンは、テスラの充電ネットワークに似た水素ステーションの建設を計画しています。結局のところ、水素自動車はEVよりも航続距離が長いため、ハイペリオンはそれほど多くの水素ステーションを建設する必要はありません。
将来的には、さらに大きな水素燃料タンクを搭載することで航続距離を伸ばすことが可能になります。カファンタリス氏は次のように述べています。
「これは、エネルギー貯蔵媒体としての水素が実現できることのほんの一部に過ぎません。この燃料の可能性は無限であり、エネルギー分野に革命を起こすでしょう」
スタイリングの面では、車輪のついた宇宙船に似ています。コンセプトカーではなく、実際に販売されるクルマのデザインとしてはなかなか奇抜なデザインです。
フロントにはスリムなヘッドライトとローマウントグリルがあり、威嚇的な雰囲気を醸し出しています。角度によってはブガッティ「シロン」にも似ており、特にドアの後ろのCセクションの形状がそっくりです。
これは太陽光をエネルギーに変えるソーラーパネルですが、同時にエアロパーツとしても機能し、ダウンフォースとハンドリングを向上させています。
インテリアもエクステリアと同様にハイテクです。98インチの湾曲したスクリーンをダッシュボードに備えています。さらに、タッチレスのジェスチャーでさまざまな機能を操作できるようになっています。ラップアラウンド型のガラスキャノピーは、乗員に開放感を与えます。
ハイペリオンは、2022年後半から300台のXP-1を生産することを計画しています。価格はまだ明らかにされていませんが、目を見張るほど高額になることは間違いないでしょう。