答えは市バス:ドローンによる無人配送が大きく前進

飛行距離はドローン配達におけるもっとも大きな課題の1つです。現行のドローンは20km程度の範囲しか空輸できず、近距離の軽量・小口配送が限界とみなされていました。ところが公共交通機関をうまく利用できれば、今までの4倍の範囲に広げられそうなのです。スタンフォードの研究チームを中心に興味深い発表がなされました。

ドローンを地上の市バスで着地・出発させる

公共交通機関を利用してドローンの抱える課題を解決するとは斬新です。バスはすでに世界の都市で運行されているので、この発想の基礎部分はすでにできあがっているといえます。イメージは次のような具合でしょうか。「配送ルートに最も理想的なバスをめがけてドローンを着地させる。安全に着地したところで車体に密着させ、理想的なタイミングで出発させる。」要はバスルートと、ドローン側の最適な重量・飛行距離の、複雑な最適化問題を解くのです。

このようなアイデアを唱えたのは、スタンフォード大学工学部の研究者とAutonomous Systems Laboratoryのチームです。サンフランシスコとワシントンDCのメトロエリアにある既存の市バスネットワークと独自のアルゴリズムを利用して、一連のシミュレーションを実施しました。彼らはドローンの有効配達範囲を4倍にすることが可能であると発見しています。都市にもよりますが、このシミュレーションによって1~2時間で荷物を届けられると明らかにしたのです。

COVID-19の拡大によらず、今やeコマースはなくてはならない生活インフラになっています。流通量の増加により道路などのリソースは圧迫され、交通渋滞を加速させます。だからこそ一部の国では配送の空輸システムの実験に着手し、舗装路の負担を和らげようとしています。ところがあと一歩がなかなか埋まらなかったのです。空中配送と公共交通機関を組み合わせるとは名案です。

無人配送における大きな課題

重量とバッテリー寿命のバランスをどのように考えるか、まさに無人配送を実現する上でドローンが抱える大きな課題です。現時点では、航続距離があまり長くありません。通常、ドローンは発射地点から20km前後の範囲を超える配達は実現が困難です。一方でバッテリーサイズを大きくすればサイズは大きくなりますし、同じ大きさのままエネルギー効率をあげるにはさらに大きな技術的課題に挑むことになります。

ドローンによる配送は、現実的には近隣の店舗からサイズの小さい製品を利用する程度に限定されています。たとえば、ドラッグストア、ファーストフード店、コンビニエンスショップなどの目的地などです。ではこうした配送拠点が動けないのであれば、すでに動いているものに載せてしまう。そうすることでドローンやバッテリーのサイズを大きくすることなく、より遠方の場所への配送も可能になるでしょう。

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