米国のストリーミングサービスHBO Maxで配信停止となっていた『風と共に去りぬ』が戻ってきました。数週間の間、当該作品は姿を潜めていたものの、このタイミングで復活です。昨今の米国の騒動を鑑みるに、そのまま戻ってきたとは考えにくく、動画には免責事項のお知らせが付けられているようです。
LAタイムズが指摘した免責事項の欠如
大方の予想通り『風と共に去りぬ』は編集が施されていたわけではありませんでした。しかしながら視聴前に「特定の問題のあるコンテンツ」であると、視聴者に警告する免責事項が含まれるようになっています。こういった「勧告」の欠如をめぐり、ある社説が世に出されたことで、もともと存在したストリーミングプラットフォームから削除されていました。
2020年の6月初め、ジョン・リドリーの意見書が『ロサンゼルス・タイムズ』に掲載されました。英語での正式名称『Gone with the Wind』に関し、免責事項を明記しなかったことで、当該社説がHBO Maxが非難を浴びせる内容となったのです。
『風と共に去りぬ』を取り巻く状況
邦題『風と共に去りぬ』は1939年にリリースされた南北戦争を舞台とし、ジョージア州の広大な農園主の、破天荒な少女に関する物語です。公開時に大変な人気を博し、それ以来、現代に到るまで注目すべき古典的な作品として残っています。現在でもミュージカルや小説等、時代を超えて多数の愛好家が世界中に存在することでしょう。
とはいえ、このタイトルは、攻撃的な黒人のステレオタイプを描いた、同時代の数多くの作品の1つです。リドリー氏は社説の中で「検閲は正しいアプローチではない」と指摘し、このコンテンツについて免責条項を追加し視聴者に警告するよう、HBO Maxに呼びかけました。
Varietyが言及したように、映画は配信リストへの復旧をはたしています。一方でこの映画は、「懐かしさやノスタルジーのレンズを通してこの世界がどのように扱われているか」を事前に知らせるようになっているのです。それはまさしく、奴隷制の恐怖と人種的不平等の遺産を扱っていると明らかにするものでしょう。
映画と並行して、視聴者には、TCMクラシック映画祭の2019年の1時間に及ぶパネルを含む、2つ目のビデオ動画が提供されています。その中で、参加者は『風と共に去りぬ』の問題点について議論しています。とりわけ奴隷制度の描写、ステレオタイプ、公開された時代の社会的文脈などの問題点を扱っています。この動画もまた、視聴者に現代の文脈に合わせて、適切な情報を提供する役目を果たしています。