地球上でもっとも速く走る事の出来るチーター。その時速は100キロを超えると言われています。そんなチーターのバイオメカニクスにヒントを得た科学者たちが、史上最速のソフトロボットを開発中です。このソフトロボットは、以前のものよりも地面や水中でより速く動くことができるようになりました。そして、モノをやさしくつかむことも、パワフルに重いモノを持ち上げるのに十分な強さでつかむこともできます。
空気の力を使い、力強く地面を蹴る
チーターの猛烈なスピードのカギは、背骨が曲がる力だと科学者たちは述べています。研究チームは、バネで動く双安定の脊柱を持ち、ロボットに二種類のモードを搭載した新しいタイプのソフトロボットを開発しました。これらのモードを切り替えるには、柔らかいシリコン製のロボットに二つのモード、それぞれに空気を急速に送り込む必要があります。2つのモードが切り替わると、大量のエネルギーが放出され、ロボットは地面に素早く力を加えることができます。
この屈曲動作により、ロボットは足を地面から離した状態で地面を駆け抜けることができます。以前、チームが開発したソフトロボットは常に地面と接触しているため、速度が大幅に制限されていました。研究チームによると、これまで最速のソフトロボットは、平らな場所を毎秒最大5.6cmのスピードで移動することができました。
陸だけでなく、水中も泳ぐことが出来る
チーターをベースに新たに開発されたこのソフトロボットは、毎秒最大18.8cmの速度に達することができます。研究チームによると、スピードは前モデルの3倍以上速く、約3 Hzの低い作動周波数を達成したということです。この新しいロボットは急な坂道も走ることができますが、これは地面にあまり力をかけないソフトロボットにとっては不可能ではないにしても非常に困難なことです。
研究チームが開発したロボットは、長さが約7センチ、重さが約45グラムです。また、足ではなく水中用のフィンを装着した場合、前モデルの4.9cm/秒に比べて、ロボットは5.76cn/秒で泳ぐことができました。現在は2台のソフトロボットを使って、いろんなモノをつかむためのデザインも研究しているとの事です。