韓国の国立大学であるKAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology)の科学者たちが、昆虫の目の構造を使って高解像度画像を撮影できる超薄型カメラの開発を発表しました。このカメラは昆虫の目をヒントにし、独自の視覚構造を持っています。市販のカメラよりもレンズが薄く、視野角が広くなっています。研究者たちは、カメラにこの機能を取り入れることにより、モバイル、セキュリティ、医療機器など、さまざまな小型カメラが活躍する分野に応用できると考えています。
厚さ0.74mmなのに広い視野と高解像度を実現
従来の厚いレンズの問題を解決するため、チームはXenos peckii(アシナガバチの内部寄生虫)の視覚構造を模倣したレンズを作り、それをイメージセンサと組み合わせて超薄型カメラを開発しました。昆虫の視覚構造の場合、色素細胞がレンズ間の光を遮り、各レンズに結像させます。研究チームが設計したレンズの構造は、高コントラストかつ高解像度の画像を撮るのに役立ちます。
研究者たちは、Xenos peckiiの視覚系からヒントを得る事で、遮光構造を作り出し、レンズを非常に薄くすることに成功しました。レンズの厚さを可能な限り薄くするために、イメージセンサの方向を組み合わせたところ、なんと完成品のレンズの厚さは0.74 mmと言う超極薄レンズが完成しました。
今後、カメラの小型化に大きく貢献する可能性
厚さは10ウォン玉の半分程度だといい、各チャネルがわずかに異なる角度の画像を同時に撮影し、撮影した画像を一つの高解像度画像に合成します。そうすることにより、高い解像度と広い視野が可能になったとのことです。研究者らによると、このレンズは将来、商業的に利用可能であり、最終的にはスマートフォンカメラ、セキュリティカメラ、医療機器の用途などの製品化が考えられますが、現時点ではこのレンズの商用化までの道のりは明らかにしていません。