海を脅かすマイクロプラスチックによる海洋汚染

ノースカロライナ州ダーラムに本部を置くデューク大学の研究によると、このままマイクロプラスチックによる海洋汚染が広がると、 魚のエラに 動脈瘤や表層の浸食など、深刻なダメージを与える可能性があると発表しました。この研究では、マイクロプラスチックへの慢性的な汚染生態系を大きく崩し、メスの魚の産卵を増加させることも明らかになっています。これはプラスチックの化学物質が魚のホルモンを崩す作用しているためだと研究者は述べています。

マイクロプラスチック問題とは

マイクロプラスチックとは、ポリエステルやポリプロピレンなどのいわゆるポリ袋プラスチックでできた5mm以下の非常に小さな粒子で、衣類などの消費者製品工業製品に使用される合成繊維が太陽光、特に紫外線などで分解されたものをいいます。これらの粒子が下水などに流れ出ると、排水中に入り、最終的には世界中の海、川、湖に蓄積します。また、多くの魚が毎日大量のマイクロプラスチックを食べていることが過去の研究から明らかになっていますが、魚の腸には損傷から守ると防御機能が備わっている事がわかっています。

しかし、研究を細胞のレベルにまで広げると、有害な変化が観察されたと研究チームは述べています。研究者によると、毎日何十万種ものマイクロプラスチックが魚のエラを通過しており、そこで多くの損傷が発生しています。研究者たちは高濃度のマイクロプラスチックの水槽で魚を3週間飼育しました。

その期間中、魚は動脈瘤、融合膜、およびエラにおける炎症の増加や、上皮細胞の変化などの影響を確認しました。ある研究者は、これらの変化ひとつひとつが魚の呼吸に影響を与える可能性があると言います。研究チームによると、魚の腸はマイクロプラスチックから体を保護するメカニズムが確認できたそうです。この研究では、魚の腸の中にマイクロプラスチックがあると、魚の血流に取り込まれた環境ホルモン物質を放出する可能性があることがわかりました。

便利さの一方で急激に広がる海上汚染

2016年には世界で約600万トンのポリエステルやポリプロピレンなどのプラスチックが生産されたといいます。プラスチック製品は、洗濯や通常の使用や劣化でマイクロプラスチックが生産されますが、研究者によると、一着の衣類で洗濯当たり約2000個のマイクロプラスチックを発生するとのことです。下水処理場にはマイクロプラスチックを除去する設備がないため、マイクロプラスチックは海に流出し、海を汚染すると警告しています。

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