2017年に日本で公開されたアメリカ航空宇宙局(NASA)の女性数学者たちのストーリーを描いた、実話に基づく映画「ドリーム」(原題:Hidden Figures)でメインキャラクターのモデルにもなったKatherine Johnson(キャサリン・ジョンソン)氏が死去したと、この度NASAが発表しました。ジョンソン氏は生前、自身のキャリアの中で最も誇りに思うことは、アポロプロジェクトに携わったことだと述べていました。
ジョンソン氏は1953年にNASAの前身であるNational Advisory Committee for Aeronautics(アメリカ航空諮問委員会)でキャリアをスタートし、その後、同委員会がNASAへと発展した後も、1986年に引退するまでNASAでキャリアを積みました。NASAウェブサイトに設けられた特設のジョンソン氏追悼ページによると、ジョンソン氏は、1961年に打ち上げられた、有人宇宙飛行プロジェクトである「Freedom 7」の軌道解析に従事したそうです。
また、米国初の有人地球周回飛行を成功させたマーキュリー・アトラス6号、通称「Friendship 7」プロジェクトでは、宇宙飛行士のJohn Glenn(ジョン・グレン)氏が、コンピュータで算出された結果とジョンソン氏の手計算とを照合するよう要求するという逸話も残るほど、ジョンソン氏の能力には絶大な信頼が寄せられていました。
ジョンソン氏はこの他にも、アポロプロジェクトでのコマンド/サービスモジュールと月着陸モジュールのドッキングに関わる計算や、スペースシャトルへの貢献など、NASAにて数々の功績を残しました。26の研究レポートの共同執筆も手掛け、2015年、ジョンソン氏が97歳の時にPresidential Medal of Freedom (大統領自由勲章)を授与されました。NASA長官のJim Bridenstin(ジム・ブライデンスティン)氏は「彼女はアメリカにとって英雄であり、彼女の先駆者としてのレガシー(業績)は決して忘れられることはないでしょう」とジョンソン氏を讃えています。