古代生物の化石が発見されたとしても、何年も調査されずに放置されることは珍しくありません。デンバー自然科学博物館に何十年も展示されていた保存状態の良い甲虫の化石も、まさにそうでした。この化石は何年も展示されていたにもかかわらず、最近になって調査が行われ、新種の甲虫であることが判明しました。
この化石は、コロラド州ガーフィールド郡のグリーンリバー層で発見され、1995年のデンバー自然科学博物館の開館以来、26年にわたって展示されてきました。4,900万年前に生きていたもので、羽の表面の模様が見えるほど保存状態が良い化石です。
調査にあたった研究チームは、この新種を「Pulchritudo attenboroughi」、すなわち 「アッテンボローズ・ビューティー」と名付けました。名前の由来となったのは、英国の植物学者であるデビッド・アッテンボロー卿です。
甲虫がこれほど保存状態の良い化石として残っているのは珍しいとされています。生きているときは発達した外骨格に覆われているため頑丈ですが、死ぬとバラバラになってしまい、全体がそのまま化石になることはなかなかありません。
しかし、保存に適した粒子の細かい堆積物であれば、ほぼ完全な化石が得られることが多いのです。このような堆積物は「ラーゲルシュテッテン」と呼ばれ、今回の新種が発見されたコロラド州北西部のグリーンリバー層もその1つです。
研究チームによれば、甲虫の種類を特定するのは困難であったとのこと。博物館ではカミキリムシとして展示されていましたが、特徴が一致しませんでした。そこで、ルクセンブルクの国立自然史博物館からカミキリムシの専門家を呼び寄せ、共同で研究を行ったところ、そのカエルのように曲がった脚の特徴から、ハムシの仲間であることがわかりました。
研究に参加したデンバー自然科学博物館のフランク・クレル氏は、「これまでに発見された甲虫の化石の中で、最も素晴らしいものです。この模様は、非常に鮮明なコントラストが保存されており、間違いなくその名に相応しいものです」と語っています。