タイタニック号の悲劇的な沈没事故に関する新しい論文が発表されました。この研究論文によると、太陽フレアの活動が事故の原因となった可能性があるとのこと。タイタニック号が沈没した1912年4月14日の夜、北半球は中~重度の強い磁気嵐に襲われていたことがわかりました。
この論文では、磁気嵐がタイタニック号の航行システムに影響を与え航路を誤らせたほか、SOS信号送信時の位置情報に誤差を生じさせた可能性があると推測しています。
太陽の黒点は、わずか数分のうちに数百万度まで加熱し、10億メガトンものTNT爆弾に相当するエネルギーを放出することができます。爆発は太陽系全体に磁気波紋を引き起こしますが、人間は地球の磁場のおかげで守られています。しかし、航空機や船舶が使用する航行システムに影響を与える可能性があり、さらには動物の移動能力を妨害することさえあります。
太陽嵐がタイタニック号の航行システムに影響を与えたことを示す兆候の1つは、沈没した夜に目撃されたオーロラです。論文では、コンパスなどの航海機器に生じた誤差により、SOS信号で送られた座標は実際の沈没地点より13海里も離れていたと推測しています。
タイタニック号の生存者の多くを救助した客船カルパチア号も、SOS信号を受信する前後5時間半もの間、同じ磁気嵐に苦しんでいた可能性が高いとされています。太陽フレアによる磁気嵐が、タイタニック号とカルパチア号の航海にどの程度の影響を与えていたのか、具体的には明らかになっていません。しかし、その他多くの不幸と重なって、歴史的な悲劇につながった可能性は十分に考えられます。