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1個0.65ドルの赤レンガを蓄電バッテリーに変貌させる研究がある

セントルイスにあるワシントン大学の研究者たちが大きな成果を発表しました。世界で最も安価で身近な建材である赤レンガを、エネルギー貯蔵ユニットに変換する方法を考え出したのです。要するに、一般的なレンガを電池に変えてしまったのです。立派なレンガの邸宅が、実は蓄電スポットや巨大バッテリーとして機能するなら驚きです。

1つ65セントのレンガ蓄電池に変わる

研究者たちはただの赤レンガにしか見えないブロックを「スマート・ブリック」と呼びます。「スマート・ブリック」はデバイスに電力を供給するために必要とされるまでエネルギーを蓄えることができます。なんでも、このブロックはミズーリ州のホームデポで入手したレンガだそうで、なんと1つ0.65ドルの破格の値段で研究チームに仲間入りしたそうです。一般に、レンガで作られた壁や建物は大量のスペースを必要とします。そうした空間や敷地は、電力貯蔵などの新たな目的を定義された場合、より良い活用シーンがあるのだと、研究者らは説明しています。

デバイスと化した赤レンガとその研究

このプロジェクトでは概念実証(PoC)用のレンガで「デバイス」が設計・開発されました。レンガの内部に蓄えられた電力が緑色のLEDライトに直接電力を供給する設計です。この方法は、通常のレンガやリサイクルされたレンガで機能しますので、レンガの「デバイス」も複製できると、彼らは自信を覗かせています。

チームは「PEDOT」と呼ばれる導電性ポリマーのコーティングを生み出しました。この材料は、レンガの内部の気孔に入り込むことができるナノファイバーで構成されています。ポリマーのコーティングはレンガの内部に閉じ込められ、電気を蓄えて伝導する、イオンスポンジの役割を果たしています。ここで重要な役割を演じるのは、レンガが持つ赤い色素である酸化鉄もしくは錆です。「錆は重合反応を誘発するために不可欠で、この種のレンガが相当な量のエネルギーを蓄えることができる」とされています。研究の詳細はこちらの記事にて。

バッテリーとしての赤レンガの実力とその可能性

では一体どのような利用シーンがあるのでしょう。答えは単純、レンガを太陽電池に接続するというものです。チームは、太陽光を利用することで、レンガを何時間も緊急時の照明の電力供給に使用できると見通しています。レンガの壁は、1 時間以内に何百、何千回も充電する能力を持つスーパーキャパシタとして機能します。実際に、チームは50個のレンガによって、非常用照明に5時間分の電力を供給できると説明しています。ただし、現時点ではこの技術的な成果がビジネスとして世の中で展開されるかは触れられていません。とはいえ、非常にワクワクする取り組みには違いありません。