魚を中心とした食事には心臓を守るなど、健康に良い影響があることは広く知られておりますが、サプリメントとして魚油やオメガ3を摂取することについては疑問が残ります。最新の分析によると、魚油の摂取は心血管の健康に大きな予防効果があるということですが、ここに落とし穴が潜んでいます。なんと、周知されている健康効果は市販されていない高純度の魚油を摂取することに基づいていたというものです。
高純度の魚油の有効性は認められる
カリフォルニア大学アーバイン校の研究によると、純度の高い魚油を使用すると、脳卒中や心臓発作といった心臓に関する致命的な病気の予防に大きな効果があると認められています。この物質はイコサペント酸エチルと呼ばれ、一般的なオメガ3系サプリメントに含まれる2種類の長鎖オメガ3系多価不飽和脂肪酸の1つであるエイコサペンタエン酸(EPA)の精製品です(もう1つはドコサヘキサエン酸、DHAと呼ばれています)
今回の新たな研究では、REDUCE-IT試験(ハーバード大学の研究者らが主導した多国籍臨床試験)を含む複数の情報源からデータを収集し、この高純度魚油が糖尿病や心臓病、そして中性脂肪値が高い人に対する有効性を明らかにしました。REDUCE-ITの結果によると、イコサペントエチルを服用しているこれらの患者は、心臓発作や脳卒中などの心臓に対するリスクを25%低下したことを確認しました。
これらの研究結果に基づき、今回の研究では、高純度魚油が糖尿病や心臓病を持つアメリカ人全体に及ぼす影響や、心臓発作や脳卒中などの心臓に対するリスクなどに注目しています。その結果、イコサペントエチルを服用することで、年間7万件以上の病気を予防でき、それは21人に1人の割合で心臓に関する病気を予防できることを意味しています。
日本でも医療用医薬品として入手可能
現時点では、アメリカでイコサペント酸エチルはVascepaと呼ばれる処方薬の形でのみ入手可能であり、日本では医療用医薬品として薬局で入手できます。Vascepaは最近、トリグリセリド値が高く、他の基準を満たす特定の患者への使用についてアメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を得ました。この薬剤はスタチン(血液中のコレステロール値を低下させる薬)と併用することが承認されているということです。