増殖と転移を抑制することが明らかになった乳がんの 「スイッチ」

最近の研究で、乳がん研究におけるブレークスルーの可能性が模索され、科学者が遺伝子の 「スイッチ」 と呼ばれるものが関係している事が明らかになりました。この研究は、米ルイジアナ州テュレーン大学の研究者が最も攻撃的なタイプの乳がんの背景にある遺伝子と、がんの増殖と転移にブレーキをかけるためにこの遺伝子を 「オフ」 にする方法を発見しました。

今回発見された二つの遺伝子とは

この研究は、乳がんの中でも最も進行性が早いとされるトリプルネガティブ乳がん (TNBC) に焦点を当てました。研究者らは、TNBCにおいてRab 27 aおよびTRAF 3 IP 2と呼ばれる2つの特異的遺伝子が果たす役割を調査しました。研究者たちがこれら2つの遺伝子を抑制したとき、すなわち機能を停止させたとき、乳がんに良い影響があることを発見しました。

TRAF 3 IP 2遺伝子のスイッチを切ると、癌細胞が体の他の部位に広がることを意味する乳がんの転移が、治療後1年間は起こらなかったことがわかりました。また、この遺伝子の抑制は、腫瘍の増殖の停止と 「検出不能レベル」 までの腫瘍の縮小にも関連していました。

ただ、これらの影響はヒトではなく動物モデルで観察されたことに注意が必要です。しかし、研究者らは臨床試験への道を切り開くために アメリカ食品医薬品局 (FDA)に働きかけたところ、この結果は非常に重要とされました。チームリーダーのDr.Reza Izadpanah氏は次のように述べています

私たちのこの発見は、両遺伝子が乳がんの増殖と転移に役割を果たすことを示しています。Rab 27 aを標的とすることで腫瘍増殖の進行を遅らせることができますが、ごく少量のがん細胞の転移や微小転移には影響を与えません。反対に、TRAF 3 IP 2を標的とすると、腫瘍の増殖および転移が抑制され、TRAF 3 IP 2を阻害すると、あらかじめ形成された腫瘍が縮小し、さらなる転移が予防されます。この画期的な発見はTRAF 3 IP 2が乳がん治療における新規治療標的としての役割を果たすことができることが明らかになりました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です