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日本の宮園選手がスリル満載のFIA GT選手権の第1戦に初優勝

先週末は、南半球の2つの国で行われた非常に珍しいレースが展開された。オーストラリア・シドニーではグランツーリスモ「FIA GT選手権 ワールドツアー第1戦」が、いっぽう隣のニュージーランドでは、F3レース「トヨタ・レーシング・シリーズ」が開催された。前者はバーチャル、後者はリアルだが、どちらも日本発のレースだ。

そして、どちらも激戦だった。まずバーチャル戦であるグランツーリスモ「FIA GT選手権 ワールドツアー第1戦」は、初めてオーストラリアで開催されたが、ここでは日本代表の宮園選手が優勝!  わずか100分の3秒差で、個人対抗戦となる「ネイションズカップ」で初優勝を飾った。

いっぽう、リアルワールド(本物)のF3「トヨタ・レーシング・シリーズ」最終戦では、イゴール・フラガ選手が数秒の差で、シリーズ・チャンオンをゲット。フラガ選手は、日本生まれ、ブラジル育ち。しかもFIA GT選手権の元ワールドツアー王者であり、グランツーリスモがスポンサードしている。

つまり、eスポーツの代表的な存在であるグランツーリスモのワールドツアー優勝経験者のフラガ選手が、ゲームで培ったその巧みなテクニックを使って、ニュージーランドでリアルワールドのシリーズチャンピオンに輝いたと言える。

ゲーム界で初めてFIAに認定されたグランツーリスモ

FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ 2020 ワールドツアーは、PlayStation 4用ソフトウェア「グランツーリスモSPORT」を使用したリアルイベントだ。その「第1戦 in シドニー」のネイションズカップには、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、アジアなど世界各地から最速のグランツーリスモプレイヤー24人が参加した。

「あれ、グランツはFIAとどう関係しているの?」と訝る読者もいるかもしれない。実は、グランツはFIA (世界のモータースポーツの運営を取りまとめる国際自動車連盟) に認定されているのだ。だから、グランツーリスモは、F1やドイツのDTMなど、本物のモータースポーツと同様の扱いになるのだ。現実的には、各イベントにはFIAのマーシャルがレース中の審議に参加するし、各シリーズの優勝者たちは、F1のルイス・ハミルトン選手と同様のステージでトロフィがもらえるのだ。

2月15日~16日(現地時間)、オーストラリア・シドニーの遊園地「ルーナーパーク」の特設会場で開催した第1戦では、13の国から集まった24名のトップドライバーが、劇的なバトルを繰り広げた。

宮園選手は異例の3ストップ作戦を選ぶ

シドニーでの決勝レースは、グランツーリスモ独自のバーチャルサーキット「ドラゴントレイル シーサイド」上の30周で行われた。コースは、「Red Bull X2019 Competition」という組み合わせ。ソフト・ミディアム・ハード全てのタイヤの使用が義務付けられ、給油も必須となる長丁場。

このレースでは、開催国オーストラリアのエース、コディー・ニコラ・ラトコフスキ選手と宮園選手が最後の数周で激しく争い、トップ・宮園選手と2位・ラトコフスキ選手との差はわずか0.03秒という歴史に残る激戦となった。

昨年、宮園選手は、モナコで開催された2019年シーズン最終戦である、ワールドファイナルのネイションズカップ部門で、3位を獲得している。

今回は、決勝レースを4番手のポジションでスタートした宮園。他の選手がタイヤ選択をソフト・ミディアム・ハードを使い分ける2ストップ作戦をとるにもかかわらず、宮園はなんと異例の3ストップを選んだ。ハードを1周で履き捨て、ミディアムで8周を走り、その後ソフトタイヤを2度選択したのだ。

宮園選手がファステストラップ連発

ソフトタイヤに履き替えてからの宮園選手は、上位陣のはるか後方から立て続けにファステストラップの1分19秒700を出すなどアタックを続けつつ30周を走行し、ゴールでは2位の選手とわずか100分の3秒の差。宮園選手にとってワールドツアーのネイションズカップ初優勝となった。

2位はコディー・ラトコフスキ選手(オーストラリア)、3位にジョナサン・ウォン選手(香港)となった。

ところで、このグランツのチーム戦「マニュファクチャラー・シリーズ」では、BMWが完全優勝を達成した。ちなみに第2戦は、5月22日〜24日の間、ドイツ・ニュルブルクリンク24時間レースの合わせてサーキットの隣の特設会場で開催予定。