ケーニグセグ(Koenigsegg)は、2020年のジュネーブ・モーターショーで「ジェスコ アブソリュート(Jesko Absolut)」を発表する準備を進めていました。しかし、コロナウイルスの大流行により計画は変更。スウェーデンのハイパーカーメーカーはジュネーブで3つの新モデルを発表することになっていましたが、ジェスコ アブソリュートが注目を集めました。
まず第一に、エアロカバー付きのホイールと、大きなリアスポイラーの代わりにアグレッシブなウイングレットを装備しています。一方、通常のジェスコは、アクティブなリアウイングとアグレッシブなエアインテークでダウンフォースを追求しています。ジェメラ(Gemera)の4シーターメガGTが話題の大半をさらっていましたが、ジェスコ アブソリュートに関するケーニグセグのプレスリリースでは、「我々は、これ以上に速い量産型のロードカーを作ることは決してしない」という言葉が目立っていました。
皆さん、ジェスコ アブソリュートは、ケーニグセグがこれまでに作った中で最も速い車だと宣言されています。最高速度は時速330+マイル(532km超)と謳われており、これはかつて世界最速記録を打ち立てたブガッティ「シロン スーパースポーツ300+」の時速304.77mphを超える、真の世界最速マシンになるかもしれません。
ケーニグセグCEO兼創業者のクリスチャン・フォン・ケーニグセグ(Christian von Koenigsegg)氏は、こう述べています。
「ジェスコ アブソリュートは、Cd値0.28という驚異的に低い抗力係数(空気抵抗)と、高速安定性、最適化されたエアロ機能、日々のドライブ特性、ラゲッジスペースを兼ね備えており、記録的なペースで前代未聞のスピードに到達することを決意した陸上のロケットとなっています」
速度記録を更新したブガッティのシロン スーパースポーツ300+と同様に、ジェスコ アブソリュートは空気抵抗を減らすことに重点を置いています。大きなリアウイングを取り外すことで、空気抵抗とダウンフォースを低減し、後者はなんと1,400kgからわずか150kgにまで削られています。2枚のリアフードフィンは、高速走行時の安定性を向上させるために空力性能が強化されています。また、通常のジェスコよりもボディ長が85mm長くなっており、空気の流れをより良く整えます。
もちろん、スピードの壁を突破するにはパワフルなエンジンが必要で、ジェスコ アブソリュートは通常モデルと共通の5.0L V型8気筒ツインターボエンジンを搭載。一般的な燃料で1,280馬力、特殊なE85燃料では1,600馬力を発揮し、ピークトルクは約1,106ポンドフィート(1,500Nm)とされています。
ケーニグセグによると、この新開発のV8エンジンには、世界で最も軽いV8クランクシャフトを採用しているとのこと。180度フラットプレーンクランク設計により、エンジンはより大きなパワーを発揮し、8,500rpmの高いレブリミットを実現しています。そして、この凶悪なエンジンは、新開発の9速マルチクラッチ・ライトスピード・トランスミッション(LST)と組み合わされています。
このLSTは、「レゲーラ(Regera)」のダイレクト・ドライブ・トランスミッションに続いて、ケーニグセグが100%自社で設計・製造した2番目のユニットとなります。ケーニグセグによれば、LSTは独自のUPOD(Ultimate Power On Demand)シフトアルゴリズムを採用しているとのことです。マルチクラッチ設計と相まって、LSTはシフトアップ・ダウンともに超高速のギアチェンジを実現します。
ジェスコおよびジェスコ アブソリュートについて、私たちが本当に気に入っていることを1つ挙げるとすれば、それはどちらのモデルにも取り外し可能なハードトップルーフが付いているということです。ジェスコ アブソリュートでは、フロントトランクにルーフを収納するのに十分なスペースがあります。
ルーフを下ろした状態で時速330マイルまで加速するなんてこと、想像できますか?
ジェスコとジェスコ アブソリュートを取り巻くすべての狂気と技術的な魔法を考えると、ケーニグセグが1台につき300万ドル(約3億2,500万円)の値札をつける理由は容易に理解できるでしょう。ジェスコは125台のみが生産される予定で、デビューから数日で完売しました。