EV(電気自動車)の開発競争が激化する中、少しでもコストや期間を短縮したい各メーカーでは、車の基本構造となるプラットフォームを複数車種で共有する傾向が強まっています。米カリフォルニア州に本社を置くKarma Automotive(カルマ・オートモーティブ)は同社の「E-Flex Platform(Eフレックス・プラットフォーム)」を高級EVやハイブリッド車のプラットフォームとして位置付け、複数のモデルに共有する計画を示しました。基本的なアーキテクチャは2020年モデルの「Revero GT(リヴェーロGT)」で採用されているものと同じですが、あらゆる車種に採用できるマルチなプラットフォームであるとうたっています。
EV向けプラットフォームは、時折変わったネーミングで人々の気を引きます。おそらく最も有名なのは新興EVメーカーのRivianでしょう。同社の開発したプラットフォームは「Skateboard(スケートボード)」といい、Amazonの特注電動配達トラックに供給されているほか、高級車ブランドLincolnもこれを新型SUVに採用する予定です。しかし、Fisker(フィスカー)の血を引くKarmaは違ったネーミングを好むようです。
「私たちは5つの異なる製品にフォーマットできる製品を作りました。E-Flex Platformというマルチユースソリューションです。」と同社COOのKevin Pavlov氏は説明します。Pavlov氏によると、最終的には最大22種類のバリエーション展開が可能になるとのこと。
つまり、さまざまな電動モーターシステムとバッテリーパッケージに対応できるようになります。RivianのSkateboardはEV専用ですが、KarmaはEVだけでなくハイブリッドにも対応しています。例えば、Revero GTはバッテリーとガソリンエンジンの両方を搭載したプラグインハイブリッド車です。
今のところ、Karma E-Flex Platformは1つの構成しか確認できていません。しかし、数週間のうちに他の構成も披露すると同社は約束しています。このなかには、プラグインハイブリッド車、EV、そして近々発表されるという電動コンセプトカーも含まれています。
昨年後半に発表されたRevero GTとKarma「SC2」電動クーペは、運転の楽しさに焦点を当てたスポーツモデルですが、E-Flex Platformを採用する車はさまざまな目的・用途に対応できると同社はいいます。自動配達車や一般的な乗用車にも適しているとのことです。プラットフォームを共有することでコストを削減でき、より安価なラインナップ展開が可能になるでしょう。
これは野心的な挑戦といえますが、Karma Automotiveが適切なオーディエンスを見つけることができれば、収益性の高い事業になるかもしれません。モーターやバッテリー、またはそれに付随する電子機器やソフトウェアの開発にかかるコストと時間の両方を考慮すると、電気自動車の開発は決して安価なプロジェクトではなく、大変な労力が必要です。E-Flex Platformは、こうした一連の開発コスト削減に貢献できます。
ただ、Karmaと同じようなことを考えている企業は他にもあります。Rivianは資金豊富なスタートアップですし、Volkswagenのような大手の自動車メーカーも自社製プラットフォームをサードパーティーに売り込んでいます。特にVolkswagenの「MEB」プラットフォームは、Audiのような同グループ内ブランドで広く使われるだけでなく、他社にもライセンスされるでしょう。Fordもまた、「Mustang Mach-E(マスタング・マッハE)」の次期モデルにこのプラットフォームを採用するようです。
Karmaが他社へプラットフォームを提供する意図があるかどうかは未確認ですが、社内専用だとしてもメリットは決して小さくないはずです。