クリスティアーノ・ロナウド選手も購入! 10台限定のBugatti「Centodieci」

昨年、自動車メディアはサッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)氏が、1,870万ドル(約20億円)のBugatti「La Voiture Noire(ラ・ボワチュール・ノワール)」のただ1人の買い手だと推測していました。しかし、この推測は外れたようです。その代わりにロナウド氏がサインしたのは、「Centodieci(チェントディエチ)」の発注書でした。彼は正しい選択をしたと思います。その理由を説明しましょう。

補足しておくと、La Voiture Noireが悪い選択肢だというわけではありません。今でも、いったい誰が1台の車に1,870万ドルも注ぎ込んだのか知りたい、という気持ちに変わりはありません。“黒い車”という意味を持つこの車は、1930年代の超レアなBugatti「Type 57 SC Atlantic」にインスパイアされた、1台限定のスーパーカーです。確かに素晴らしいパフォーマンスを有する車ですが、Centodieciはまた違った種類の獣なのです。

Bugatti Centodieciは900万ドル(約9億7千万円)という価格で、10台のみの限定生産モデルです。「Chiron(シロン)」の巨大なW16エンジンを搭載するモデルの中でも最もパワフル。つまり、最高時速の世界記録を更新した「Chiron Super Sport 300mph+」よりもさらにパワフルである、という自慢ができる権利を得られるということです。ロナウド氏がこのことを知っているのは当然でしょうし、ゆえに躊躇うことなく購入の決断を下すことができたのでしょう。

先述のLa Voiture Noireは1,500馬力のW16エンジンを搭載していますが、Centodieciの8.0L クワッドターボチャージャーエンジンは7,000rpmで1,600馬力を発揮。これは、時速0~60マイル(96km/h)を2.4秒で達成するのに十分な性能です。さらに、時速124マイル(200km/h)までは6.0秒、時速186マイル(300km/h)までは13.1秒と、驚異的な数値を叩き出します。最高速度はリミッターにより時速236マイル(380km/h)に制限されていますが、通常のChironの最高速度は時速261マイル(420km/h)なので、この点は若干見劣りする部分ではあります。しかし、Centodieciが最高速度記録ではなくラップタイムの記録を破ることを意図していることを考えると、これは理にかなっているといえます。

Bugatti CentodieciとLa Voiture Noireは同じデザイン要素を採用しており、BピラーにBugattiの象徴的なCラインが施されていません。その代わりに、Centodieciにはダイヤモンド状に配置された円形の空気導入口が5つ備わります。このデザインのイディオムに見覚えがあるのなら、それはCentodieciがBugatti「EB110」に対するオマージュであるためで、特にフロントビューから受ける印象はとても近いものがあります。

小さな馬蹄形グリルが低い位置に備わり、3つのセクションからなるエアインテークとフロントスポイラーがEB110を彷彿とさせます。Centodieciは近代的でスリムなヘッドライトを備えており、まるで悪魔のように前方を見つめています。

多くの人の目には、Bugattiはただひたすら素晴らしい車としか映りません。しかし、主に公道向けに作られたChironと異なり、サーキット向けにセッティングされた過激なボディワークには要注目です。まず、Centodieciは通常のChironよりも44ポンド(約20㎏)軽量で、これはカーボンファイバーの広範な利用によって実現しました。ワイパーやサイドミラーにもカーボンファイバーを使用するなど、細部にわたって軽量化が図られています。

ただ軽いだけでなく、噛んだあとの風船ガムのように地面にくっついて走ることもできます。大きなリアディフューザーとリアウィングを装備したCentodieciは、198ポンド(約90㎏)以上のダウンフォースを生み出します。さらに、路面状況など必要に応じてリアウイングを手動で調整し、理想的な傾斜角度にすることも可能です。

Centodieciは、クリスティアーノ・ロナウド氏にとって最初のBugattiというわけではありません。彼は「Veyron(ヴェイロン)」やChiron、その他多くのよだれが出るようなスーパーカーのオーナーでもありますが、イタリアのユベントスFCに移籍して以来、初のBugattiとなります。(ところで、ユベントスが資金難から彼を売却する噂も立っていますが、どうなるのでしょうか?)

サッカーのスター選手であるロナウド氏は現在、故郷ポルトガルで家族と隔離収容されています。彼は最近、COVID-19の流行を抑えるために、マスクや医療機器をポルトガルの医療関係者や市民に寄付しました。優れた車を見分ける目だけでなく、広く優しい心も持っている真のスター選手です。

林 汰久也

愛知県在住29歳/ハウスメーカーの営業を経て、IT系ベンチャーのメディア事業に参画。2020年よりフリーのライターとして活動開始/愛車遍歴:マツダ『RX-8』⇒シトロエン『C4』⇒スバル『フォレスター』&ホンダ『クロスカブ50』/ゲームはPS派だが、最近ゲーミングPCが欲しいと思っている。

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