「Polestar 2」EVの生産開始:業界の流れに逆行する動き

高級車ブランドPolestarが、Tesla「Model3」に対抗する新しい電気自動車「Polestar2」の生産を開始しました。ただ、このモデルが納車されるまでには少し時間がかかると見られます。自動車業界が一様に生産縮小へ動く中、その流れに逆行する(あるいは取り残されている)かのような状態です。

Polestarは現在、Geely(吉利/ジーリー)とVolvoが共同所有するブランドです。Geelyは中国・浙江省の路橋(Luqiao)にある生産施設を所有し、Volvoが運営する形を取っています。Polestarブランドははじめ、アフターマーケット(いわゆる中古車販売やカスタム・チューニング)事業としてスタートしましたが、のちにVolvoの子会社となり、同社のパフォーマンスモデルに焦点を当てるようになりました。

しかし2017年、VolvoとGeelyはPolestarを独立したブランドと位置づけ、高性能な電気自動車の開発に注力し始めました。両社が共同で所有するこの会社は、両社から技術と生産能力の恩恵を受けています。そのおかげで同社は、最初の量産モデルである高級ハイブリッドグランドツアラー「Polestar 1」をデビューさせることに成功。そして今年、より大衆向けの「Polestar 2」の生産に至りました。

Polestar 2は5人乗りのファストバックで、300kW(408馬力)と660Nmのトルクを発揮。全輪駆動が標準で、少なくとも初期モデルでは78kWhのバッテリーパックを搭載します。Polestarは、欧州の WLTPサイクルでは航続距離が470kmになるとしていますが、米国EPAでの推測値では、それよりも若干短くなるようです。

インテリアには、Volvoでおなじみのデザイン要素と、環境に優しい素材、そしてAndroid Autoを搭載した新しいダッシュボードが採用されています。このAndroid Autoアプリには大型のタッチスクリーンとデジタル機器が組み合わされており、「Google Assistant」「Google Maps」「Google Play Store」からサードパーティー製アプリにアクセスできます。Polestarは今後のロードマップにこのシステムを組み込んでおり、近々Volvo Carsにも拡大される予定です。

不安定な時期にPolestarの生産が開始

Polestarが最初に生産計画を発表したとき、同社はまだCOVID-19の流行に直面するとは考えていなかったのでしょう。PolestarのCEO、Thomas Ingenlath氏はこの予期せぬ事態に対し「このような厳しい環境の中で、社員の安全衛生を重視した体制で生産を開始しています。これは大きな成果であり、工場のスタッフとサプライチェーンを構成するチームの多大な努力の結果です。」とコメントしています。

Polestar 2の最初の出荷先は欧州で、2020年夏頃になる予定です。その後、中国と北米へ届けられるようになると同社は述べています。

多くの自動車メーカーが新車販売の低迷期に備えている中での生産です。ロシアのメディアグループ RBCは今月初め、米国での自動車販売が20%減少し、世界生産は最大16%減少する可能性があると警告。Fiat Chrysler、Ford、General Motorsは、他の自動車メーカーによる欧州などでの工場閉鎖を受け、北米での生産を一時停止しています。

Polestarの命運がかかったモデルであることは理解できるのですが、いかなる事情があるにせよ不安は残ります。何はともあれ従業員の方々の健康を祈ります。

林 汰久也

愛知県在住29歳/ハウスメーカーの営業を経て、IT系ベンチャーのメディア事業に参画。2020年よりフリーのライターとして活動開始/愛車遍歴:マツダ『RX-8』⇒シトロエン『C4』⇒スバル『フォレスター』&ホンダ『クロスカブ50』/ゲームはPS派だが、最近ゲーミングPCが欲しいと思っている。

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