タトゥーを入れたLexus「UX」:ロンドンのアーティストが日本文化を表現

あなたはタトゥーを入れた車を見たことはありますか? このLexus「UX」には、単なる塗装ではなく見事なタトゥーが入っています。イラストを描いた車を「痛車」と呼ぶこともありますが、この車に似つかわしい表現ではありません。Lexusは日本の優れた芸術性と職人技を称え、ロンドンを拠点とするタトゥーアーティスト Claudia De Sabe(クラウディア・デ・サベ)氏とその夫Yutaro(ユータロー)氏に依頼し、コンパクトSUVに美しい鯉を描きました。

単なる限定色ではなく、職人が線を一本一本彫ったタトゥーである。

これは決して簡単な作業ではありません。「タトゥーを入れる時には、皮膚の下の筋肉や組織を考えなければなりません。車の場合は、ボディがフレームの上でどのように形を変えるかが問題でした。」とClaudia氏。どうやら車にタトゥーを入れることは初めての経験らしく、この仕事を成功させるためには新しい技術を使わなければならなかったようです。

従来のタトゥーニードルを使う代わりに、彼らはDremel(ドレメル)ドリルを使って、UXの白いボディーに繊細なパターンを文字通り“彫る”必要がありました。表面の塗装を削り、その下の地金を露出させるのです。「Lexus UXにタトゥーを入れることの一番の利点、そしてこの車がこのプロジェクトに理想的だった理由は、その流線型のボディ形状にあります。」とClaudia氏はいいます。「ボディサイドのラインから窓の形まで、全てがダイナミックで美しい。」彼女はそれがコンセプトそのものにぴったりだと感じたとのこと。

鯉の朱色も鮮やかだが、墨のような濃淡のある黒も美しい。

日本車のタトゥーですから、やはり日本文化を象徴するデザインを選ぶ必要があるでしょう。寿司やわさびのことを思い浮かべたのなら、少し間違っています。Lexusは「鯉」を選びました。鯉は幸運と長寿の象徴で、Lexus車の特性にもぴったりです。Claudiaたちはそこへ数匹の金魚を加えました。

何時間もの単調な手彫り作業の後、5Lの自動車用塗料を使用して、その模様に命を吹き込みます。また、タトゥーの立体感を高めるため、仕上げとして金箔も使用。その後、さまざまな天候からタトゥーを保護するために、ボディには何層ものクリアコートがスプレーされました。

Claudia De Sabe氏はロンドンを拠点とするタトゥーアーティスト。さすがに、車にタトゥーを入れるのは初めてだったようだ。

すべての工程に6カ月の集中的な作業が必要で、タトゥーを入れる工程だけでも1日8時間かけて5日を要するとのことです。こうして、世界初のタトゥーを入れた車が誕生しました。

正直なところ、恐ろしいコロナウイルスのニュース報道から少しでも解放されたことには歓迎です。もし、このタトゥーの入ったLexus UXに触発されて、自分の愛車にもタトゥーを入れたくなったのであれば、財布を用意した方がいいでしょう。

芸術性と職人技への対価、つまりLexus UXにタトゥーを入れるための金額は、12万ポンド(約1,500万円)。ありふれたステッカーや塗装パターンでは満足できない人、そして車にも芸術性を求める人にはおすすめです。ただ、車両本体価格のほぼ三倍という金額は、お財布にはかなり“痛い”出費かもしれません。

林 汰久也

愛知県在住29歳/ハウスメーカーの営業を経て、IT系ベンチャーのメディア事業に参画。2020年よりフリーのライターとして活動開始/愛車遍歴:マツダ『RX-8』⇒シトロエン『C4』⇒スバル『フォレスター』&ホンダ『クロスカブ50』/ゲームはPS派だが、最近ゲーミングPCが欲しいと思っている。

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