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新型スカイラインの世界初「手放し運転」 どこまで使えるのか?

世界初「ハンズオフ」運転がついに可能になった。つまり、「手放し運転」の機能が昨年出たビッグマイナーチェンジした日産スカイラインに搭載されているプロパイロット2.0に加わった。言い換えれば、それは初の自動運転、いや条件付き自動運転と言ってもいいだろう。

スカイラインは日産にとって重要な車種だ。だから、大幅改良したモデルは重要なニュースになっている。顧客は3リッター・ターボのハイブリッド仕様を買うか、それとも405psを発揮する400Rが買いなのか、大きく迷うことだろう。

でも、それより話題になっている「手放し運転機能」が追加されたことだ。ビッグマイナーのスカイラインには、「手放し運転」が可能なプロパイロット2.0が初めて採用されているわけだ。しかし、実際その機能が応用できる区域は高速道路のみだ。

当然、日産側は「自動運転」という言い回しを口にしない。僕は昨年の秋には、この「手放し運転」を試乗してみたけど、このプロパイロット2.0が高速道路でできることは、はっきり言って「条件付き自動運転」だと感じた。それは、つまり運転をクルマに任せていられる条件付きレベル3と言っていいだろう。

条件付きと言うのは、手放し機能が作動するのは、高速道路または自動車専用道路を走行る時だけだからだ。高速道路に入り、ハンドルの右側についたプロパイロット2.0のボタンを押し、そのすぐ隣りのスイッチで速度を設定すれば、そのまま「条件付き自動運転」が作動される。もう一回、言いたい。日産側は一度も「自動運転」という言葉は使用していないけど、ハンドルから手を離していいということなので、レベル3の条件付き自動運転と呼んでいいと僕は思う。この説明の中で一番大切な言葉は、「条件つき」。

つまり、どの道でも、この「手放し運転」ができるわけでもない。正直にいうと、「ハンズオフ」が作動する地域が少ない。実際に「手放し運転」の段階までどり着くには、いくつかの条件を満たさなければならない。高速道路に入ってすぐに、車線のど真ん中を走り、システムが周りの安全を確認した上でないと、専用ボタンを押しても、プロパイロット2.0は作動しない。

でも、条件を全て満たし、一回作動してしまえば、もう運転は楽チン。手を放していい。僕は今までどのクルマでも経験できなかった10分ほど手放し運転を経験した。先方の車両に追従して、そのまま80km/hをキープしながら、ぴったりと追従した。しかも、不思議と言えるぐらい、スカイラインは車線のど真ん中を丁寧に走りながら、体が感じるほどの修正はない。これこそが、皆さんが夢見ている自動運転ではないだろうか。

プロパイロット2.0は、セレナに搭載されているプロパイロットよりもハードウェアが大幅に進化している。プロパイロットのセンサーは単眼カメラだけだが、進化版のプロパイロット2.0では、カメラが7個、レーダーが5個、音波ソナーが12個装着されているし、3D高精度地図データも完備されている。これだけのセンサーやカメラなどを組み合わせると、クルマの周囲360度の情報と道路上の正確な位置をしっかりとキャッチできる。そこで重要なのは、3D高精度地図データ。つまり、このデータがない高速道路、もしくは一般道では、当然「手放し機能」は使えない。

ところが、ステアリングホイールやペダルもいじらずに走ると、運転者の集中力が落ちるので、インパネの上の顔認識カメラが常にドライバーの状態をチェックしている。例えば、携帯電話を数秒見たり、脇見運転をしたり、居眠りをしたりすると、「こら、ダメだよ」と警告をする。

自動の追い越しも可能。ステアリングを握って追い越しボタンを押すと、自動的にウインカーをつけて、ハンドル制御によって右車線へと自動的に車線変更が行われる。でも、この動作をするにはハンドルを握り続けなければならない。

高速道路の出口を出たい場合は、同じ追い越しボタンさえ押せば、システムが近づいてきている出口を判断して、手でステアリングを握ったまま、自然に降りてくれる。

僕は今回のプロパイロット2.0を試乗するまで、こんなにしっかりと走ってくれる「条件付き自動運転」は、こんなにすぐにはできないだろうと思っていた。でも、試してみたら、条件付きなら「できるじゃないか」と納得。ただ、このシステムはあくまでも、高速道路での条件つきのみ。高速ではない一般道で走ることは、また近未来の話だ。