Volvo初の完全EVモデルは今年後半にならないと準備が整わないかもしれませんが、だからといって同社がハイブリッド技術の提供拡大を止めることはないようです。21日に発表された2021年モデルの「Volvo S90」、「V90」、「V90 Cross Country」に加えて、Volvoはマイルドハイブリッドシステムをラインナップの全車種に搭載することも明らかにしました。
これは48Vのシステムですが、Volvoにはハイブリッドの設定が複数あるので、少々混乱するかもしれません。この仕様は、T8 Twin Engine プラグインハイブリッドと呼ばれるものではなく、複数モデルの最上級オプションとして設定されており、ターボチャージャー付き4気筒エンジンとモーターを組み合わせた全輪駆動システムを採用しています。
その代わり、Volvoのマイルドハイブリッドはプラグインに対応しておらず、ブレーキからの回生エネルギーを利用しています。これにより48Vのバッテリーが充電され、スターター/ジェネレーターに電力が供給されます。このジェネレーターの働きにより、Volvoはエンジンを一時的に停止させ排出ガスを低減するだけでなく、従来のアイドリングストップよりもスムーズなストップ&ゴーを実現しています。
Volvoは当初、2019年にSUVモデル「XC60」と「XC90」にのみマイルドハイブリッド仕様を設定していましたが、現在はコンパクトな「XC40」に加え、「90」および「60」シリーズの全車種にマイルドハイブリッド仕様を用意するとしています。しかし、すべての市場で実現されるわけではなさそうです。北米では、XC60もXC90もマイルドハイブリッド仕様はこれまで選べませんでした。日本への導入も未定です。
これはとても残念なことです。プラグインに対応せず、電力だけで駆動する機能がなくても、48Vのマイルドハイブリッドシステムは環境負荷を抑えられます。Volvoによると、このテクノロジーにより燃料消費量を最大15%節約できるほか、排出ガスも削減できるといいます。
2021年モデル「90」シリーズ
Volvoの最上級モデルにとって、今回の「MY21」アップデートは大規模改良というより微調整に近いでしょう。S90とV90には、新形状のフォグランプ、スポイラー、フロントバンパーが採用されています。また、V90とV90 Cross Countryでは、LEDシグネチャーライトとシーケンシャルウィンカーを備えた新しいブレーキランプに変更。ボディカラーやホイールも刷新されます。
インテリアでは、Bowers&Wilkinsオーディオシステムが採用されました。新しいアンプが追加され、ロードノイズのキャンセリング機能に対応。ジャズクラブのサウンドモデルも追加されました。
空気清浄システムのAdvanced Air Cleanerオプションは現在、世界中で提供されています。当初は中国でのみ設定され、Sensusインフォテイメントタッチスクリーン上で車内の空気の質をリアルタイムに表示する、PM2.5パーティクルセンサーを搭載しています。「ほんの数分の間にほとんど全ての微粒子を除去できる」とVolvoは主張しています。
90および60シリーズの後部座席には、12V電源に代わるUSB-C充電ポートが装備されました。XC40で採用されているスマートフォンのワイヤレス充電システムは、90および60シリーズのほとんどのモデルに追加することができます。
EVモデル「Recharge」の発売は2020年後半
Volvoの電動化戦略は順調で、完全なるEVに向けた以前のコミットメントを緩やかではありますが実行に移しています。ただ、EVの本格始動は今年の第4四半期まで待たなければならないでしょう。Volvoが「XC40 Recharge」の発売を計画しているのはその時期です。
昨年明らかにされたXC40 Rechargeは、VolvoにとってEVブランドの「Recharge」を冠した最初のモデルとなります。最終的には、完全に電気で動くモデルが数多く登場するでしょう。このクロスオーバーモデルは、欧州燃費・電費基準のWLTPで249マイル(400km)以上の航続距離を有し、0~60mph(0~96km/h)加速は4.9秒を記録するとのこと。
全輪駆動を採用し、150kWの電動モーターを前輪と後輪それぞれに配置。このパワーユニットは最高出力408hp、最大トルク487lb-ft(660Nm)を発揮します。Volvoによると、DC(直流)急速充電器があれば、XC40 Rechargeはバッテリーが空の状態から40分で80%まで充電できるといいます。 日本導入のためにも、国内の急速充電スタンドの増設が待たれます。