米EVスタートアップのLucid Motors(ルーシッドモーターズ)のCEO兼CTO(最高技術責任者)であるPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏が、同社の電気自動車(EV)Airシリーズで「クラス最高」の車内空間をどのように実現したのかを語りました。ローリンソン氏は同社のYoutubeチャンネルで、通常のガソリン車よりも「外は小さく、中は大きい」車を作ることが目標であったと説明しました。
ガソリン車では、一般的にエンジンやトランスミッションのハウジングが車体前方に内蔵されているため、運転席の位置が前輪よりも大幅に後方に追いやられてしまいます。そこでルーシッドは、ドライバーの足の位置をできるだけ前輪に近づけることを目指したのです。ローリンソン氏によれば、「これまで誰もやったことのないほどクレイジーに小さく」設計されたルーシッドの「統合ドライブユニット」のおかげで、運転席を前輪に近い前方に配置することが可能となり、また、車両の全長を短くすることができたそうです。モーター、インバーター、トランスミッションスタックを、機内持ち込みサイズのスーツケースに収まるほど小さなパッケージに収めたにもかかわらず、それぞれの統合型ドライブユニットは合計670馬力を発生します。
また、バッテリーパックは、最大限の航続距離を確保しながら、最大限の車内空間を確保するように設計されています。ローリンソン氏はデモモデルを用いて、バッテリーレイアウトが 「Airの乗員を中心に造形された “ことを紹介しました。バッテリーは、車体中央を貫く「トンネル」と呼ばれるスペースに2段に積み重ねてに配置されています。また、バッテリーは後部乗員の足元にも配置され、後部座席のスペースを重視したバッテリー航続距離400マイル(約644km)のモデルは、足元にバッテリー1段を配置。一方、航続距離を重視した航続距離500マイル (約805km)のモデルは、2段のバッテリーが後部座席の足元に配置されています。
ローリンソン氏は、安全性を犠牲にせずに車内空間を最大限にした言及。車の前方は衝撃を受けた時に変形し衝撃を吸収するゾーンから成り、続くキャビンは「セーフティゾーン」と呼ばれ、衝撃から乗員を守るために強固に作られています。この2つのゾーンが接するポイントの前輪2輪近くに強化された衝撃吸収構造を設計したと説明しました。さらに、このポイントに配置された「Wunderbox」と呼ばれる急速充電器が隔壁の役割を果たし、衝撃を吸収する重要な構造をより頑強なものにしていることを指摘しました。
ルーシッドは、全長は短くしつつ、ホイールベースを最大にすることで、車内空間を最大化にすることに努めました。ホイールベースが長いと安定性が増す反面、機敏性が損なわれます。ローリンソン氏によると、俊敏性を保つことは「ドライバーにフォーカスしたマシン」というルーシッドのミッションの重要な要素であり、ホイールベースを決める際にもこの点が考慮されたそうです。