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メルセデス・ベンツ SUV数モデル 計29万台をリコール

メルセデス・ベンツは、米国で2006年から2012年に販売されたGLクラス、MLクラス、RクラスなどのSUV車、計292,287台をリコールすると発表しました。同社は先ごろ調査を終え、リコール対象車のブレーキシステムに腐食に起因する不具合の可能性があることを突き止めました。このため、同社は「自主的な運転停止キャンペーン」を開始し、問題が改善されるまでリコール対象車を運転しないよう、オーナーに呼びかけています。

今回のリコールは、ブレーキブースターの腐食が引き起こす危険性によるものです。長期間水にさらされると、ブレーキブースターの腐食によって亀裂が生じ、最終的にはブレーキブースターに空気が入り込み、ブレーキ力のサポートが低下。腐食がひどくなると、ブレーキを強くかけたときに機械的な損傷を引き起こし、致命的な故障につながる可能性があります。足踏み式パーキングブレーキは、この欠陥の影響を受けないとされています。

ディーラーでの点検

メルセデス・ベンツは、ブレーキペダルが柔らかくなったり、ブレーキオイルの汚れを示す「シュー」 、「ヒューヒュー」といった異常音の発生を確認することで、ブレーキブースターの腐食の初期兆候を発見できると助言しています。リコール対象車のオーナーは正規ディーラーでブレーキブースタの検査が必要となります。

腐食が進行していないリコール対象車は、問題なく走行が可能です。一方、ブレーキブースターハウジング周りに多くの腐食が確認できる車両は、更なる点検を受ける必要があります。2回目の点検で問題なしとされた車両は、その後2年間は走行が可能で、将来的には追加修理が行われる予定となっています。一方、この2つの点検で不合格となった車両は、ブレーキブースター機構の交換が必要となります。

牽引サービス、代車も用意

メルセデス・ベンツはリコール対象車の安全が確認されるまで、対象車を運転しないようオーナーに呼びかけており、修理センターへのレッカーサービスを提供しています。また、すぐに修理ができない場合は、「代替移動手段を含む、個別の解決策 」を提供するとしており、代車が用意されると見られています。

メルセデス・ベンツによると、腐食したブレーキブースターによる事故や怪我、死亡事故は発生していないとのことです。同社は、数日前に米国道路交通安全局(NHTSA)に今回のリコールを通知した後、5月12日からすでに顧客への通知を開始しています。

この問題は、ブレーキ力が低下しているという複数の消費者からのクレームを受け、2021年7月から約1年間にわたる調査を経て発見されました。ブレーキ力が低下に関する報告は米国外からのもので、2021年9月までに世界各地の市場でメルセデス・ベンツによる調査が開始しされました。

その結果、2022年3月には、ブレーキブースターハウジングの腐食により制動力が低下する事例を1件確認し、ブレーキ能力の低下による衝突の危険性を否定できないと結論づけ、今回のリコールが決定されたということです。