ベントレーが同社で最も人気なSUVモデル「Bentayga(ベンテイガ)」のキャビンスペースを拡大した新型「Bentayga Extended Wheelbase(エクステンデッド・ホイールベース、EWB)」を発表しました。同社2代目SUVの最新モデルとなるベンテイガEWBは、ベンテイガでおなじみの操縦性は損なうことなく、より広いスペース、より快適なシートを約束しています。
ベンテイガEWBも4.0リットルV型8気筒エンジンを搭載で、最高出力542hp、最大トルク770Nmはそのままに、リアホイールステアリングとBentley Dynamic Ride(ベントレーダイナミックライド)が導入されました。より快適な運転性にフォーカスを充てたモデルとは言え、最高速度290km/h、静止状態から100km/h加速は4.5秒とパワフルなパフォーマンスです。
後部座席スペースを拡大
通常モデルのベンテイガのホイールベースより180mm延長されたベンテイガEWBは、ドア、サイドパネル、アンダーフロアが刷新され、オプションでは電動開閉式ドアも用意されています。
標準の座席構成はベントレーが4+1と称する、運転席と助手席、そして2つの独立した後部座席で、後部座席は必要により3人がけにも対応できます。4シートコンフォート仕様では、2つの後部座席の間にセンターコンソールが配置され、オプションで冷蔵庫や充電機能を搭載することも可能です。5人乗り仕様では、後部に3人掛けの折りたたみ式リアベンチを装備しています。
エアラインシートと世界初の2つの機能
さらにベンテイガEWBには「Bentley Airline Seat Specification(ベントレー・エアライン・シート・スペシフィケーション)」と呼ばれるシートが用意され、4+1シート構成の場合、シートクッションとバックレストボルスターの追加調整、シートクッションの延長、ヘッドレスト電動調整、展開式フットレストが装備されています。VIPモードでは、助手席が前方に移動して、助手席の後のスペースが広くなり、後席を最大40度までリクライニングできます。「シートオートクライメイト」は、シートクッションとバックレストのセンサーで接触面温度と湿度を把握し、ヒーターやベンチレーターを作動させ快適な温度に自動調整する、ベントレーが世界初と謳う機能です。
同じく世界初となる「ポスチュラルアジャストメント」と呼ばれる姿勢調整機能も搭載。ベントレーによると、シートに内蔵されたエアポケットの形状を緩やかに、そして連続的に変化させることで圧力ポイントを緩和して疲労を回避するそうです。6つの独立した圧力ゾーンで、3時間ごとに177回の調整が可能で、3次元的なひねりを実現します。
より洗練されたキャビン
オプション設定のBentley Diamond Illumination(ベントレ・ダイヤモンド・イルミネーション」は、フロントドアとリアドアのパネル内側にLEDを内蔵し、トリムレザーの1mmのパーフォレーションから光を放ちます。明るさと色はアンビエントライトと連動。リアコンパートメントをさりげなく明るく演出する「ウォーターフォールイルミネーション」ランプも新たに追加されました。
Continental GT Mullinerにのみ装備されていた、フォトエッチング加工された金属をベニヤに手作業で接着したMetal Overlay in Veneer(メタル・オーバーレイ・イン・ベニア)をオプションで採用。ベントレーのシートキルティングは、コンセプトカーEXP 100 GTで開発された技術を取り入れ、より繊細なステッチと糸を使用し、より強調されたパターンとソフトな手触りを実現しています。カスタマイゼーションの選択肢も多く用意され、レザー、ウッド、その他のエレメントなど、合計で240億通りものトリムの組み合わせが可能だそうです。
スタイルとスピード
「胴長感」を感じさせないバランスの良いフォルムのベンテイガEWBの足回りには、ポリッシュ仕上げの22インチ10本スポークホイールを装着し、フロントには新デザインのバーティカルベーングリルを採用。ホイールベースの延長に伴い、パノラミックサンルーフは約12cm後退した配置になっています。
ベンテイガのオーナーは自分でハンドルを握ることが多いため、ベントレーは、ベンテイガEWBの運転性も重視。ベンテイガEWBの回転半径は標準的なSUVよりも7%小さくなっています。
48Vの電動アクティブ・ロールコントロール技術が、コーナリング時の安定性を高めるほか、セルフレベリングエアサスペンション、連続ダンピングコントロールも標準装備されています。標準の4WDは、トルセン式センターデフと電子ロック式リアデフを備え、車高は4種類、トランスミッションはZF製8速オートマチックで、6ピストンの鉄製ディスクフロントブレーキを搭載。10ピストンのカーボンシリコンカーバイド仕様もオプションで用意されています。
ミュルザンヌの後継的モデル
ベントレーは、ベンテイガEWBが同社のSUV販売台数の45%を占めると予測し、揺るぎないベンテイガの人気度に貢献するとみられています。
また、ベンテイガEWBが2020年に惜しまれつつ生産終了となったラグジュアリーセダン「Mulsanne(ミュルザンヌ)」の後継的モデルとも囁かれています。ベンテイガEWBは、ミュルザンヌのファンが好んだ後席の広さ、そしてミュルザンヌより10mm高いヘッドルーム、そしてセダンでは実現できなかったシートコンフィギュレーションを提供することができます。 ベントレーは、ベンテイガEWBの受注受付を開始し、デリバリーは2022年第4四半期からを予定しています。