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GM 水素燃料を使ったEV充電システム、発電機を発表

ゼネラルモーターズ(GM)は、同社の水素燃料電池技術をさまざまなクリーンエネルギー用途に活用する3つの新プロジェクトを発表しました。水素燃料電池技術は主にゼロエミッション車を中心に採用されていますが、GMは新世代燃料電池システム「Hydrotec(ハイドロテック)」をベースにした発電機をさらなる用途に展開し、建設現場から野外コンサートまで、環境汚染を引き起こす従来のガスやディーゼルを使う発電機の代わりに活用できると考えています。

開発中のプロジェクトは、電気自動車(EV)用急速充電器「EMPOWER」、移動式発電機「Mobile Power Generator(MPG)」、そして軍事用に特化したパレット型MPGの3つです。いずれもGMのハイドロテック、特に第2世代「ハイドロテックパワーキューブ」をベースにしています。

MPGは、臨時的なEV充電ステーションとして、どこでも設置できる装置です。一方、急速充電器「EMPOWER」は、DC急速充電機能に特化し、「送電網を拡張することなく、充電ステーションにDC急速充電機能を導入すること」を目的としています。

EMPOWERは、GMと米エネルギー関連企業「Renewable Innovations(リニューアブル・イノベーションズ)」により共同開発されました。EMPOWERの商用版は、充電ステーションや、交通量の多いスポットなどでEVの急速充電を提供する目的で開発されました。

GMによると、EMPOWERは、従来の充電ステーションと異なり、大規模で莫大な費用がかかる電気インフラのアップグレードを必要としないので、EVの急速充電をより安価に提供できる手段に成り得ると語っています。EMPOWERには、ハイドロテックパワーキューブと呼ばれるコンパクト設計の水素燃料電池システム8台と水素タンクが搭載されています。EMPOWERは、どこでも設置が可能ですが、内蔵タンクに搭載されている水素がなくなった場合、水素の補充が必要となります。

GMによると、EMPOWER急速充電器は、150kWからの出力レベルで、同時に最大4台のEVの急速充電が可能だそうです。同社は、これらの急速充電器を使用してEVをフル充電するのに約20分かかると見込んでいます。

GMは、EMPOWERをスマートフォンのモバイルバッテリーのように持ち運びが可能なバッテリーソリューションと表現しています。EMPOWERの充電器も、季節ごとに需要がある場所に一時的に配置することができます。例えば、大規模なフェスティバルで展開し、イベントが終わったら別の場所に移動させることができます。

GMは、水素燃料電池がEVへの充電だけでなく、さまざまな用途にクリーンエネルギーを提供するために活用できると説明しています。例えば、停電時に中小企業や住宅地でのバックアップ電源として利用することができます。また、作業現場や野外コンサートなど、従来の燃料を使う発電機で発電する場合の利用も可能です。

Hydrotecの3つのプロジェクトのうち1つは、軍事利用を目的としたパレット型MPGで、輸送用パレットの上に専用のMPGが搭載されたバージョンです。GMによれば、米軍はすでに軍事キャンプや軍事重装備の動力源としての使用を想定した評価をしているそうです。この製品はまだ試作品の段階ですが、60kWの発電機に相当する大きさで、通常のディーゼル発電機より70%高い発電量を実現するそうです。

カリフォルニア州エネルギー委員会は、パレット型MPGの軍事評価に加え、山火事対策や計画停電への対応に有用であるとして、数台のMPGを用いた実証実験に出資しています。さらに、MPGを移動式EV充電ステーションとして使用する実証実験も今夏に予定されています。

GMによると、リニューアブル・イノベーションズは、2025年末までに米国内に500台のEMPOWER急速充電器を配備する予定ですが、どこに配備されるかの詳細情報は現時点では不明だそうです。