米国カリフォルニア州フリーモントにあるテスラ社のテストコースを走行している米テスラのCybertruck(サイバートラック)の試作車が目撃されました。ドローンにより様々な角度から撮影されたテストコースを走るサイバートラックの映像に映った、ある物に注目が集まりました。しかも、この「ある物」に関しては同社CEOのElon Mask(イーロン・マスク)氏も不満を抱えていることを自身のツイッターで明かしました。
公道を走る車両には、法律や規定などにより特定の部品を搭載することが求められることがありますが、これはテスラの野心的なコンセプトを台無しにしかねない、高いハードルになっている様です。テストコースを走るサイバートラックの映像が公開された直後、サイバートラックの試作車の両サイドから突き出した雰囲気台無し的なサイドミラーが注目されましたが、それ以上に注目を集めたのは、フロントガラスに装備された巨大なワイパーでした。
ドローン映像は、YouTubeチャンネル「Chile A|100」が12月10日に公開したもので、サイバートラックの試作車をはじめとするテスラ車の数々が確認できます。サイバートラックは、ボンネットと一体化したかのような長いフロントガラスが特徴で、シャープでクリーンなデザインが印象的です。ただ、当初発表されたサイバートラックには問題がありました。それは、降雨時など、フロントガラスに着いた水滴を適切に排除する機構が備わっていないことです。
現在、Chile A|100が公開した映像から分かるとおり、テスラは、サイバートラックのフロントガラスに非常に長いワイパーを装備するという、ひねりのない解決策を施すことでこの問題に対処しています。巨大なワイパーは、シンプルではありますが、SF作品を彷彿とさせるサイバートラックにはそぐわないデザインで、少し時代遅れな印象を受けます。少なくとも、このワイパーに関する批判に対するマスク氏のツイートを見る限りでは、マスク氏もこのデザインには満足していないようで、「法律により、オートメーカーはサイドミラー付きの車を出荷しなければなりませんが、オーナーは車を改造することができます。私の頭を一番悩ませているはワイパーです。簡単には解決できません。フロントトランクに収納できる展開式のワイパーがあれば理想的ですが、複雑です。」と語っています。
マスク氏は、従来のワイパーに代わる、より魅力的な別の選択肢を開発することを提案していますが、それにはさらなる複雑さが伴うかもしれません。現在のワイパーは非常にシンプルで、必要に応じてドライバーが簡単に交換することができます。もし、新しい形態のワイパーが簡単に交換できないものであれば、デザイン的には魅力的であっても、メンテナンス面からはとても魅力的とは言えない解決策となります。
もちろん、テスラが見た目の美しさと通常のフロントガラス用ワイパーのような簡単なメンテナンス性を兼ね備えた「未来型ワイパー」をデザインする可能性もあります。しかし一方で、プロトタイプに見られるような巨大なワイパーを搭載して市場に投入する可能性もあります。
2019年9月、EVやテスラに特化する米ニュースサイトのElectrekは、テスラが、「電磁式移動ブロック」と呼ばれる単一のブレードとガイドレールを装備した未来型のワイパーの特許を申請したことを発見しました。申請された特許によると、このワイパーは、雨や雪の検知システムがトリガーとなって、ワイパーブレードがフロントガラスを左右に移動するシステムだそうです。
しかし、特許を申請しても、最終的にはその技術が市場に投入されないことはよくあることで、この電磁式ワイパーのコンセプトも実現化されない可能性があります。少なくとも今のところ、サイバートラックには従来通りのワイパーブレードを大型化したワイパーが装着されています。市販モデルでも今回目撃された試作車のワイパーが搭載されるかどうかは、今後の情報を待つしかありません。