トヨタの欧州法人が、最新の水素自動車の画像を公開しました。水素自動車と言っても、トヨタの新型車「ミライ」のような水素燃料電池車ではなく、水素を燃料とするエンジンを搭載したプロトタイプ車「GR Yaris(ヤリス)H2」です。
トヨタのハイブリッド車の技術力は非常に優れていますが、電池式電気自動車の分野では少し遅れを感じさせます。トヨタは長い間、「再生可能エネルギーがより広く利用されるようになるまでは、バッテリー電気自動車(BEV)は二酸化炭素排出量を削減するための『銀の弾丸』にはならない 」と主張し、BEVがゼロエミッションの究極の姿になるという考え方に反対してきました。
とは言え、トヨタは電動化自体に反対しているわけではなく(先日、BEVクロスオーバー「bZ4X」を発表したことも然り)、従来の内燃エンジンの未来の燃料として水素を採用することで、選択肢を広げたいと考えているのです。
そんなトヨタが、昨年4月、2021年のスーパー耐久24時間レースに向けて発表したカローラは、水素エンジンを搭載。通常のカローラをベースに、水素エンジンを燃料として使用するよう改造することで、従来のエンジン音や振動などの「クルマ感」はそのままに、排出ガスを大幅に削減することに成功しました。
ミライに搭載されている水素燃料電池とは異なり、トヨタの水素エンジンは100%のゼロエミッション車ではないく、トヨタ自動車によると、水素と空気中の酸素を燃焼させるため、多少の有害ガスが発生するそうです。しかし、一般的なガソリン車やディーゼル車に比べれば、その排出量は格段に少なくなります。また、燃料は100%水素で、化石燃料の使用は一切なし。
今回発表された水素エンジン搭載GRヤリス H2は、すでにスーパー耐久レースに導入されている水素エンジン搭載のカローラと同じパワートレインを搭載。スタンダードなGRヤリスと同様、1.6リットル3気筒ターボエンジンをベースに、水素燃料に対応するために供給・噴射システムが改良されています。
このプロトタイプは現在も実車およびバーチャルでテストが行われており、トヨタの新型車に水素を燃料とするICEエンジンがすぐに搭載されることはありません。トヨタは、最新の水素技術が実用化されるのは数年後だと述べています。しかし、同じ水素エンジンを搭載した次世代プリウスが2〜3年後に登場するという噂もあり、水素エンジン搭載車の搭乗に注目が集まるところです。