新型レンジローバーが米国でお披露目  唯一無二のラグジュアリーSUV

ランドローバーがLAオートショー2021に先だって2022 レンジローバーを米国でお披露目しました。10月下旬に公開された第5世代となるフルモデルチェンジされたレンジローバーの公式写真では、ラグジュアリーSUVを築いてきた存在であるレンジローバーがより洗練されたフォルムに変化を遂げた印象を受けましたが、今回フォルムの変化を含めた詳細が明らかになりました。

ラグジュアリーSUVといえば「大きくて華美」ということが一般的。実際、マイバッハやアルピナなどの高級オフロード車は、ただでさえ高級なモデルを一段と着飾ったSUVに仕上げていますし、ロールス・ロイス カリナンやベントレー ベンテイガなどはクロームを贅沢に施しています。しかし、2022年のレンジローバーは少し違った角度から攻めている様です。

新型レンジローバーを単体で見ると、先代モデルからの変化のほどを見逃してしまいそうです。新旧モデルを隣同士に並べることで、2022年モデルのフォルムの進化を強調できるのではと思われますが、これはランドローバーの意図したことなのでしょうか、それとも意図せぬ機会損失なのでしょうか。

エクステリアのイメージが大きく変わったレンジローバーですが、そのデザイン哲学はしっかりと受け継がれています。2017年にヴェラールがローンチされた時、ランドローバーの凹凸のないデザインへのこだわりや美の探求心が感じられ、ヴェロールはランドローバーのSUVのラインナップ中でも最もエレガントなSUVと言う称号を即座に手に入れました。

そして、今回お披露目された2022 レンジローバーは、時代を超越したモダニズムという表現がぴったりの、洗練されたエクステリアデザインに仕上げられています。余計なディテールが削ぎ落とされ、バンパーやグリルはよりシームレスに。まるでCGIで作成された車がスクリーンから飛び出してきたかのような、全体的に滑らかなデザインが特徴的です。

特記すべきは、新型レンジローバーの艶やかで途切れのないデザインは、単なる美を追求しただけのものではないということです。空気抵抗係数0.30、速度に応じた自動ローダリング、アクティブ・エアロなどにより、現行のレンジローバーに比べて空気抵抗が12%向上しているそうです。

ランドローバーはレンジローバーのEV化の動きも進めています。来年登場予定のプラグインハイブリッドは、38.2kWhのバッテリー搭載で、WLTPテストサイクル基準で最高航続距離は62マイル(およそ km)だそうです。一方、レンジローバー初となる完全電動モデルは、2024年に導入の予定です。

アマゾンの電気で走る配送トラックを手掛けるRivian(リビアン)や、テスラ越えを狙う新興企業Lucid(ルーシッド)のような新進気鋭のEVメーカーや、ドイツの大手3社のような既存のライバル企業が厳しく競争を広げているEV市場。プラグインハイブリッドのレンジローバーの最高航続距離から見ても、ランドローバーのEV参入は出遅れた感が否めません。

ランドローバーのEV参入から2022レンジローバーに話を戻すと、この新型レンジローバーで際立っているのは、ランドローバーがいかにすべてを網羅しようとしているかということです。初期のレンジローバーは、単一のモデルのみのラインナップであったため、すべての人のすべての要望を満たすような1台でなければなりませんでした。その後、レンジローバースポーツ、イヴォーク、ヴェラールが登場したことで、レンジローバーは、ランドローバーが目指す大型SUVのラグジュアリーをより明確に表現することができるようになったのです。

しかし、2022レンジローバーは、その流れに逆行し、より幅広い人を魅了していようとしている様です。その例として、新型レンジローバーにはレンジローバー初となる7人乗り仕様のレンジローバーの他に、レンジローバーSVで選択できる、1m近くのゆったりとしたレッグルームを備えた後部座先が配置された4人乗り仕様の「SV シグネチャースイート」などがラインナップ。もちろん、ラグジュアリーという言葉が表すとおり、レンジローバーが魅了しようとしているのは、大枚をはたける一部の人に限りますが。

4人乗り、7人乗りに加え、スタンダードとロングホイールベースから選べる5人乗り仕様のレンジローバーも用意されています。もちろん、パワートレインも豊富に用意され、3種類から選択が可能です。インテリアは、リサイクル素材や占領などの化学物質の使用を低減したレザーを使用するなど、サステナビリティにも配慮されています。

2022レンジローバーのインテリアは実に幅広い選択肢が用意され、オーナーの趣向と予算により、堅実で控えめなインテリアから、派手で豪華なインテリアに仕上げることも可能です。また、一部のレンジローバーSVにはセラミック製のスイッチギアも採用されています(セラミック製のスイッチギアが通常のブラッシュドメタルより格好いいかどうかは議論の余地がありますが)。

複数のグレードや多彩なコンフィギャレーションで、より多くの人を取り込もうとする新型レンジローバー、それがそれが吉と出るか凶と出るか、その答えは、ランドローバーが自社フラッグシップの魅力を理解しているかどうかにありそうです。旧型の無骨さを感じるレンジローバーファンにとっては、滑らな印象を与える新型レンジローバーのフォルムに嘆きの声を漏らすかもしれません。しかし、レンジローバーのオーナーのほとんどがこのSUVをオフロードに持ち出すことがない事実を考えれば、洗練性を追求した今回のモデルチェンジに異議を唱える人は少なそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です