米国ホンダは、建設会社のBlack & Veatch(ブラック&ヴィーチ)社と提携し、第2世代のプロトタイプであるHonda Autonomous Work Vehicle(ホンダ自律作業車両、AWV)のテストを行ったことを発表しました。今回の実地試験では、大規模な太陽光発電の建設現場で、AWVの様々な機能を検証。ブラック&ヴィーチ社の協力を得て、複数の建設プロジェクトでの使用シーンでのAWVのパフォーマンスと適合性をテストしています。
今回のテストでは、建設現場でのけん引作業、建設資材や水などの物資の運搬などを実行。これまでにも旧世代のAWVによる検証は行っていましたが、複数のAWVユニットを大規模建設現場にて協調して配置し、同時にテストするのは今回が初めてだそうです。
ホンダAWVは、先進の自律走行技術を採用した堅牢で耐久性の高いオフロードプラットフォーム作業車です。GPSによる位置情報の取得、レーダー及びLiDARで障害物を察知、ステレオスコピック3Dカメラによる遠隔操作など、一連のセンサー情報を元に自律走行を行います。また、自律走行に適さないシーンでは、人間による遠隔操作に切り替えることも可能。
実地試験でのAWV運行にあたり、ホンダのエンジニアにがブラック&ヴィーチ社の作業員に車両の操作方法や安全プロトコルのトレーニングが実施されたそうです。ホンダは大規模建設現場での自律走行を可能にするために、1,000エーカーの敷地の高精度地図を事前に作成。タブレットやパソコン上でクラウドを利用したシステムを使用してAWS操作者が、車両のスタートおよびストップ地点を作成された地図上で設定しテストが行われました。
このテストで、AWVは計算されたルートどおりに物資を輸送、設定された停止位置から数センチの差異内に停止することに成功したそうです。ホンダは、ソーラーパネルの支持構造物が等間隔でグリッドパターンに配置されている場所をテストサイトに選定。実地試験に採用されたこのサイトは、AWVが設定されたルート上の正確なポイントを通過できるかを検証するのに最適な環境だとか。
テストでは、ホンダAWVの900ポンド(およそ408kg)の積載物の運搬、また、重量1,600(およそ726kg)ポンドを超えるのトレーラーをけん引できることが実証されたそうです。ホンダは、今回のテストにより、AWVがオフロードでの自動走行車両を必要とする業界をはじめ、幅広い業界にサービスを提供できることが証明できたと述べています。ホンダAWVに様々なアタッチメントやツールを追加して用途を広げることも可能だそうです。
現時点ではホンダAWVの商用化に関して詳細は明かされておらず、ホンダは引き続きAWVの実地試験を重ねていくものと見られています。AWVは、今年4月に惜しまれつつ生産終了したホンダの軽トラ「アクティトラック」の上部を切り落とした様な見た目で、全長約2.9m、高さ約1.4m、幅約1.5mで、車両重量は約721kg。
最大積載量はおよそ399kg、最大けん引力はおよそ750kgで、最小回転半径は約3.9m。1回の充電で最大積載量を積載時でおよ45kmの走行が可能で、フルチャージには6時間を要すと公表されています。