「ポリ袋にガソリンを入れないでください」
米国の消費者製品安全委員会は5月12日、このような警告を発しなければいけない状況に置かれました。なぜ、このようなことになってしまったのでしょうか?
発端となっているのは、米国最大級の石油パイプラインが受けたサイバー攻撃です。ハッキングを受けたコロニアル・パイプライン社は、5月7日(金)から操業を一時停止しており、石油価格の上昇や供給不足が懸念されました。そして、ガソリンスタンドにはガソリンを買いだめしようとする市民の行列ができたというわけです。
コロニアル・パイプライン社は、今週中には通常業務に戻れる見込みであると発表しましたが、それでも混乱は収まらず。ガソリンスタンドに並ぶ人の中には、安全性の極めて低い容器を抱えている人が見られました。
消費者製品安全委員会は、可燃性液体を火気や発火源の近くで使用しないよう注意を促すとともに、「ガソリンの保管と輸送については、容器メーカーの指示に従うこと」と呼びかけています。米国では今、パニックに陥った人々が可燃性液体の保管や輸送を目的としていない容器にガソリンを保管しているのです。
米国のコメディドラマが好きな人であれば、「フィラデルフィアではいつも晴れ(It’s Always Sunny in Philadelphia)」という番組を思い出した人もいるのではないでしょうか。この番組の「The Gang Solves The Gas Crisis」という回で、主人公たちがガソリンスタンドで大きなプラスチック容器にガソリンを詰め、後日、より高い価格で売ることを計画します。
この回では、ガソリン用ではない容器にガソリンを入れて、そこからクルマのガソリンタンクに給油するのがいかに難しいかなど、いくつかの教訓を視聴者に残しています。最後には、ガソリンをいれたバケツを満載したバンが暴走して他のクルマに衝突し、大火災を起こしてしまいます。消費者製品安全委員会は、このような事態を避けるべく、冒頭の警告を発しているのです。