フォードとBMW、全固体電池にさらなる投資発表 米ソリッド・パワーへの出資拡大

フォードとBMWは、EVの航続距離拡大とコスト削減に役立つとされる「全固体電池」を開発する米ソリッド・パワー社への出資拡大を発表しました。両社は1億3,000万ドル(141億円)の新規投資を行い、2022年に次世代バッテリーの試験生産を開始する予定です。

全固体電池は、EVの技術を飛躍的に向上させるものとして、自動車メーカーをはじめとする多くの企業から注目されています。現在主流となっているリチウムイオンバッテリーとは異なり、電解液を必要としません。そのため、安価で軽量、かつエネルギー密度も高くなるほか、安全性の向上も期待されています。

新興企業のソリッド・パワーは、全固体電池の大規模生産の実現に取り組んでおり、硫化物系のバッテリーセルを使用しながら、既存のリチウムイオンバッテリーの製造インフラを利用した量産体制の確立を目指しています。昨年、この方式で実際に全固体電池のセルを製造し、BMWやフォードにサンプルを提供しました。現在は20Ahのセルを製造していますが、来年には100Ah仕様の本格的な製造を予定しています。

フォードは2019年に初めてソリッド・パワーに投資しましたが、今回の出資拡大によりBMWと同等の資本を持つことになりました。ソリッド・パワーの知名度は低いかもしれませんが、サムスン、A123(バッテリーメーカー)、VOLTA(充電インフラ)など複数の大手企業が出資しており、業界でも注目の新興企業です。

全固体電池の開発にはさまざまなアプローチが存在し、ソリッド・パワーのライバルとなる別の会社では酸化物系の技術を用いています。フォードとBMWは、ソリッド・パワーの方式がリチウムイオンの製造技術と互換性があり、大量生産を効率化できると期待しています。

フォードは、今回の出資について次のように述べています。

「固体電池の設計を簡素化することで、車両の航続距離を伸ばし、室内空間と貨物容積を改善し、顧客に低コストでより良い価値を提供します。全固体電池のセル技術を、既存のリチウムイオンバッテリーの製造工程に効率的に統合することができます」

フォード『マスタング・マッハE』

一方、BMWは次のように述べています。

「ソリッド・パワーの全固体プラットフォーム技術は、各自動車メーカーの要求性能を満たすことが期待される独自のセル設計の生産を可能にします。ソリッド・パワーの全固体セル設計は、現在の最高性能のリチウムイオンバッテリーセルよりも高いエネルギー密度を実現し、より安全で、より低コストであることが期待されます」

BMWは今後10年以内に、エネルギー密度を「少なくとも2桁半ばのパーセンテージ」に向上させた全固体バッテリーを量産車に搭載する見込みです。また、2025年までにこの技術を使用した最初のデモカーが登場するとされています。

林 汰久也

愛知県在住29歳/ハウスメーカーの営業を経て、IT系ベンチャーのメディア事業に参画。2020年よりフリーのライターとして活動開始/愛車遍歴:マツダ『RX-8』⇒シトロエン『C4』⇒スバル『フォレスター』&ホンダ『クロスカブ50』/ゲームはPS派だが、最近ゲーミングPCが欲しいと思っている。

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