先日、米テキサス州で男性2人が死亡する交通事故が発生し、当時2人が乗っていたテスラが話題になりました。2人は運転支援システム「オートパイロット」を搭載した2019年モデルの『モデルS』に乗っており、事故発生時に運転席には誰も座っていなかったとされています。車両は道路から逸脱して木に衝突、炎上しました。この事故を受けて、米国の有力消費者情報誌コンシューマー・レポートは独自の調査を行い、テスラのドライバー監視システムについて問題提議しています。
コンシューマー・レポートがテスラ『モデルY』を使って行ったテストによると、同車両のシステムを簡単にごまかして、運転席に誰も座っていない状態でもオートパイロットが働くようにすることができたとのことです。閉鎖されたテストコースで数回走行したところ、モデルYは車線に沿って自動的にハンドルを切るなど走行を継続し、運転席が空席であることを示す警告や表示は一切出なかったといいます。
このテストでは、まず、コース上で車両が動いている間にオートパイロットを作動させ、次に設定速度をゼロにして停止させました。そして、ドライバーの手を模した小さな重りのついた鎖をステアリングホイールに置き、ドライバーはドアを開けずに助手席に滑り込みました。そして、ステアリングホイールに手を伸ばして設定速度を調整したところ、あたかも人が座っているかのように走行したのです。
コンシューマー・レポートは、このシステムがドライバーの注意力不足(よそ見など)を確認できなかっただけでなく、ドライバーが運転しているかどうかも判断できなかったと評価。テスラは、ドライバーが道路を見ているかどうかを確認する技術を採用している他の自動車メーカーに遅れをとっていると同誌は指摘しています。
事故現場にいたある警察官は、車両が衝突したときに誰も運転席にいなかったことはほぼ確実だと話しています。事故について、テスラのCEOであるイーロン・マスクは今週初め、「ログから回収されたデータはオートパイロットが有効になっていなかったことを示している」という内容のツイートを投稿しました。
イーロン・マスクは、事故が起きた道路には車線が引かれていないため、オートパイロットを作動させることは不可能であるとしています。この事故は現在、米当局によって調査が続けられています。