ナビ画面はもう要らない?ダチア、スマートフォンが車載システムになる新技術発表

ルーマニアの自動車メーカーであるダチアは、「なぜ今まで思いつかなかったのだろう」と思うような製品を開発しました。ダチアはスマートフォンを車内のディスプレイ・スクリーンにする、独自のメディア・コントロール・システムを公開しています。欧州で展開する新型コンパクトカー『サンデロ』に搭載される予定です。

この斬新なアイデアは、あらゆるスマートフォンをディスプレイ・スクリーンに変えるというもの。多くのドライバーがスマートフォンをダッシュボードに取り付けていますが、このシステムが普及すれば、壊れやすく視界の妨げになりかねないスマートフォンホルダーを使う機会はなくなるかもしれません。

新型ダチア『サンデロ』のダッシュボード中央にスマートフォンを固定できる。

ダチアのメディア・コントロール・システムでは、AndroidまたはiOSのスマートフォンをサンデロのダッシュボードに取り付けることができます。ダチアのオペレーショナル・クロス・カー・ライン・ディレクターのニコラ・レグロスは、次のように述べています。

「メディア・コントロールは、完全なマルチメディアシステムです。ラジオ、2つのスピーカー、USBポート、Bluetooth接続、ステアリングホイールコントロールを備え、そして何よりダッシュボードにスマートフォン・ステーションを設置することができます。ダチアの使命は、エッセンシャル・カー(生活に必要不可欠なクルマ)を再定義することです。そのためには、クレバーで、シンプルで、マルチメディアに対応した魅力的なソリューションを見つける必要がありました」

手前が『サンデロ』、奥がクロスオーバー仕様の『サンデロ・ステップウェイ』

スマートフォンはダッシュボードの高い位置に固定され、ドライバーに向かってわずかに角度がついています。ダチア・メディア・コントロール・アプリをダウンロードした後、スマートフォンをBluetoothで接続すれば、インフォテイメント・システムの出来上がりです。音楽ストリーミング・アプリ、ナビゲーション、電話やメール、車両のトリップ・コンピューターなどを利用できるだけでなく、スマートフォンの音声アシスタント機能を使って、音声で操作することもできます。

注目すべきは、ステアリングに取り付けられたボタンを使って、曲の変更、音量の調整、電話への応答、ラジオ局の検索などができる点。メディア・コントロールには、駐車場で自分のクルマを探す機能や、クルマを降りるときにスマートフォンの取り忘れを教えてくれる「忘れ物アラート」なども備わっています。メディア・コントロールを使用しない場合は、蓋を閉めてすっきりと隠すことができます。

現在、英国で販売されている中で最も安価な市販車(約120万円)であるダチア・サンデロを、わたし達日本人が運転することはないかもしれません。ですが、ディスプレイを含めた複雑な車載システムをゼロから開発するのではなく、既存のスマートフォンを応用することで(画面は小さいかもしれませんが)、コストを抑えつつ利便性を確保するアイデアは魅力的ではないでしょうか。

林 汰久也

愛知県在住29歳/ハウスメーカーの営業を経て、IT系ベンチャーのメディア事業に参画。2020年よりフリーのライターとして活動開始/愛車遍歴:マツダ『RX-8』⇒シトロエン『C4』⇒スバル『フォレスター』&ホンダ『クロスカブ50』/ゲームはPS派だが、最近ゲーミングPCが欲しいと思っている。

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