ポルシェは、北米仕様のEV『タイカン』用に新しいソフトウェアを導入しました。充電とルート計画、ワイヤレスのApple CarPlay、さらには音楽をテーマにしたアンビエントライトなどが無料アップデートで追加されます。既存のオーナーには、最新の2021年モデルと同じ内容のアップデートが提供されますが、テスラ式のOTA(無線アップデート)機能に慣れている人はがっかりするでしょう。
おそらく最も有用なのは、ダッシュボード・ディスプレイに表示される充電インフラの情報が増えることでしょう。ポルシェによれば、充電器を見つけるのがより早く簡単になるとのこと。また、ナビゲーション内の交通情報や車線情報もより詳細に表示されるようになりました。
充電プランにも改良が加えられ、DC高速充電で目標充電レベルを設定するオプションが追加されました。これにより、システムが自動的に充電を停止する機能を無効にすることができます。また、DC急速充電の最大充電量を、タイカンが対応している最高の270kWから200kWに下げることも可能です。充電速度をあえて遅くすることで、バッテリーの寿命や性能を維持するのに役立つとされています。
アダプティブ・エアサスペンションを搭載している場合は、「スマートリフト」機能が追加されます。これは、縁石やスピードバンプ、急勾配の坂道などで車体を傷つけないように車高を上げる位置をタイカンが記憶するというものです。一度車高を上げた場所に近づくと、自動的に車高が上がり、操作の手間を減らします。
車内では、従来の有線機能に加えて、ワイヤレスのApple CarPlayに対応するようになります。また、インフォテインメント・システムでApple IDを使用してサインインすると、Apple PodcastsのサポートとApple Music Lyricsが提供されます。アンビエントライトを装備している場合は、音楽にリンクした色を切り替えることができ、再生中の音楽に応じて車内の照明が自動的に調整されます。
無線アップデート機能を使ってさまざまな機能を購入することができる「ファンクション・オン・デマンド(FoD)」にも、新たな機能が追加されました。2020年モデルのタイカンでは、ポルシェ・インテリジェント・レンジ・マネージャーのみが利用できましたが、アクティブ・レーン・キープ・アシストとポルシェ・イノドライブが加わっています。
パワートレインとサスペンション・コントロールシステムの調整も行われ、ポルシェはこれにより「ドライビング・ダイナミクスとパフォーマンスをさらに向上させる」としています。
今回のアップデートの欠点は、そのアクセス方法です。タイカンはモデムが内蔵されたコネクテッドカーですが、今回の新しいファームウェアはOTA(無線)では配信されません。ディーラーに持ち込んでインストールしてもらう必要があり、ポルシェによれば完了までに2営業日かかるといいます。