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トラックを発電機代わりに 寒波に見舞われる米テキサス州でハイブリッド車が大活躍

厳しい寒波に見舞われている米テキサス州では、記録的な寒さや降雪などの影響により、州全体で広範囲にわたって停電が発生しました。水道管も破裂し断水するなどインフラが崩壊し、住民の多くは電気も水もない状態で何日も過ごしています。そんな中、エンジンと電気モーターを搭載するハイブリッド車が、ある男性の命を救いました。

ヒューストン近郊に住むランディ・ジョーンズ氏は、地域が大規模な停電に見舞われた際、愛車のフォード『F-150ハイブリッド』から自宅に延長コードを走らせて、宅内の電化製品や暖房を稼働させました。ジョーンズ氏によると、気温はマイナス13度近くまで下がり、南テキサスでは考えられない寒さだったといいます。

ランディ・ジョーンズ氏が撮影した自宅の写真。F-150から宅内にコードを引いている。

F-150はフォードの人気ピックアップトラックで、荷台には外部に電気を供給するプラグが備わっています。ジョーンズ氏はこのクルマを発電機代わりにして、ニュースや天気を見るためのテレビ、照明、暖房、そしてコーヒーをいれるのに使ったとのこと。また、クルマの電力でオーブントースターと冷蔵庫を動かすこともできたようで、冷凍庫の食品が溶けないよう、1日に10~12時間ほど冷蔵庫を稼働させていたといいます。

その間に消費したガソリンは数ガロンだけだったので、それほど負担には感じていないとジョーンズ氏。電力を使用している間、F-150ハイブリッドは自動的にエンジンを始動させたり停止させたりしていたものの、イグニッションをオンにしたまま忘れるのは簡単だったとのこと。

興味深いことに、F-150ハイブリッドは隣人の発電機よりもはるかに静かで、8時間ごとに燃料を補充する必要もなかったといいます。ガソリンスタンドが閉まっていたため、隣人は5ガロンの缶を2本使い切った後、暗闇の中にいたといいます。

ランディ・ジョーンズ氏が撮影した自宅の写真。コーヒーも問題なく温めることができている。

ジョーンズ氏がF-150ハイブリッドを購入したのは2月の初めのこと。彼はトラックと寒波について、次のように述べています。

「ここテキサスでは、寒波よりもハリケーンに襲われることの方が多い。ちょうど数か月前にも2つのハリケーンが通り過ぎていったよ。わたしは家族の安全のために、特に発電のためにトラックを買ったんだ。今は買ってよかったと思っているし、近所の人たちもこのトラックで携帯電話を充電できて喜んでいるよ」

「今の時代、4日間も停電が続くなんてとても珍しいことだ。不要なものは何もない。常に準備しておく必要がある

ジョーンズ氏はTwitterアカウントを持っていませんが、彼の経験や画像はF-150のファンによってSNSで拡散され、フォードのジム・ファーリーCEOも自身のアカウントでシェアするなど、話題となっています。

ジム・ファーリーCEOのツイート「テキサス州のすべての人がPowerBoostを搭載した新型F-150を持っていれば…」

フォードF-150ハイブリッドは、3.5L V6ガソリンエンジンと35kWの電気モーター、1.5kWのリチウムイオンバッテリーを搭載。450馬力と57.6Nmのトルクを発生します。車内だけでなく、工事現場やキャンプなどで外部に電力を供給する「Pro Power Onboard」を採用しており、最大2.4kW(オプションで7.2kWも用意)の出力が可能となっています。

ガソリンを満タンにしておけば、2.4kWの出力で最大85時間、7.2kWでは最大32時間の連続稼働が可能とされています。非ハイブリッドのガソリン仕様にも2.0kWが標準装備されています。