BMWは、iPhoneでクルマのロック解除や始動ができる「デジタルキー」に、正確な位置情報を認識できる機能を追加した「デジタルキープラス(Digital Key Plus)」を発表しました。電動SUVの『iX』に初めて導入されます。
現行のBMWデジタルキーでは、iPhoneをクルマの仮想キーとして使用することができます。また、iMessageを介して最大5人の連絡先に自分の仮想キーを付与することが可能で、その際には最高速度、馬力、さらにはオーディオシステムの音量などの上限を設定することができます。
新しいデジタルキープラスでは、iPhoneのU1チップに搭載されているUWB(Ultra-Wideband)を使用。最大の特徴は、正確な位置情報を把握できる点です。BMWによると、クルマの近くにいるかどうかだけでなく、どこに立っているのかを正確に把握できるといいます。また、無線信号が妨害されたり傍受されたりするリレー攻撃も不可能であるとのこと。
デジタルキープラスは、BMW最新のEVプラットフォームを採用した高級SUV、iXから導入される予定です。約480kmの航続距離を持ち、2基の電気モーターで全輪駆動を実現。約500馬力、0-100km/h加速は5.0秒以下になるとされています。発売は2022年を予定。
iXはBMWの最新テクノロジーを披露するモデルであり、例えば車内には、CES 2021で公開されたBMWオペレーティング・システムの新バージョンが導入されるほか、新しいiDriveコントローラーとUIが搭載されます。5Gに対応し、ダッシュボードには2つのワイドディスプレイが設置されます。
現在、デジタルキープラスはiPhoneでしか使えない機能ですが、将来的にはAndroidにも対応するようになるかもしれません。BMWは、アップルやカー・コネクティビティ・コンソーシアム(CCC)と協力して、UWB用のいわゆる「デジタルキー3.0」を開発しているといいます。これが自動車業界で基準となれば、UWBを搭載する端末(Androidスマートフォンやスマートウォッチなど)も仮想キーとして使用することがでるようになるでしょう。